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【食文化があって守られる農業】
「武内さん、高松氏を訪ねてみませんか?」
- ジャーナリスト 齋藤訓之
- 第2回 1998年07月01日
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「けだし王者の暮し」ってなんですか?
「今日は、北海道の農家が訪ねて来るので、夕方はまた会社(新横浜)に戻らなければならない」――常磐線のホームに向かいながら、武内氏は「まいった」という風に笑った。会うたびに、武内氏は忙しい人になっている。農家と会って情報交換するなど、生産者との交流に割く時間が、日を追って増えて行くようだ。しかし、一向に疲れた風は見せない。会うたびに、元気さや迫力といったものも、増しているように見受けられる。
列車が上野を出ると、武内氏は、早速、最近の農業に関する取り組みについて、熱っぽく話してくれた。
まず、北海道や関東の農家との、最近の取り引きや交流について。これは前回会った時、すでに概要を聞いていたのだが、平成フードサービスの社員が管理・運営する、事実上の“自社農場”を二カ所持つことになりそうだということだった。一つは、農業者とも漁業者とも付き合いのある北海道の瀬棚町。町ぐるみで、専用の農場を用意するからやってみないかという誘いを受け、実現に向けて動き出したという。そしてもう一つは、群馬県の倉渕村だ。同村の契約農家が瀬棚町の件を聞いて、「だったらこっちでもやってはどうか」と話が進み、こちらが一足早く「来月開設することになった」という。倉渕村でも、農地を取得するわけではないが、平成フードサービスが管理・運営する農場を開くために、地元の人々が骨を折ってくれるのだという。
以前から、平成フードサービスは、店舗や本部で働いている社員を、積極的に農業、漁業の生産地へ送り込んで来た。産地を見学し、時には作業を手伝い、食品が生産され、出荷される現場を、頭と体で体験することが目的だという。“自社農場”を持てば、それからさらに一歩も二歩も踏み出すことになる。武内氏によれば、「社員を巻き込んで面白がらせるようでないと、契約栽培は難しい」のだという。
例えば、ある農家にダイコンを作ってもらう場合。泥付きでよければ、価格はかなり下げてもいいと言われ、その状態で納品してもらうことにしたとする。ところが、いざ泥付きのダイコンが店舗に届くと、店舗の社員は、「すぐに調理にかかれない」などと文句を言うものだ。
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