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施設栽培での環境を考えよう

光についてもう一度勉強しよう!

施設園芸において最大の生産量を得るためには、それを取り巻く環境条件を人為的にいかに適切な状態に保つかが肝要になります。具体的には光、温度、水分(土壌水分や空中湿度)、CO2濃度などがそれで、施設の構造やその制御さらにかん水肥培管理・整枝・剪定・誘引等の人為的管理が総合的に作用して収量・品質を決定します。
 施設園芸において最大の生産量を得るためには、それを取り巻く環境条件を人為的にいかに適切な状態に保つかが肝要になります。具体的には光、温度、水分(土壌水分や空中湿度)、CO2濃度などがそれで、施設の構造やその制御さらにかん水肥培管理・均枝・剪定・誘引等の人為的管理が総合的に作用して収量・品質を決定します。本連載では主に光、温度、水分環境等が生産物の生育に及ぼす影響について考え、さらに、具体的管理法を今一度考えることで(発想を転換して)、さらなる増収につながる管理法を見いだしていけたらと考えます。まず今回は、光環境のうち、光合成に必要な光の利用について考えてみたいと思います。


散乱光ってご存じ?―散乱光を考えよう!


 光は光合成による同化養分の生産に欠かせない要因であり、出来るだけ強い日射・長日により生長量が増加し増収すると理解されています。このことが正しいのかそうでないのかを、もう一度考えてみましょう。

 我々が施設で生産する多くの植物は温帯原産の植物で、ほとんどがC3植物(光合成の反応形式の分類名称)と呼ばれるもので、太陽の光の明るさで30,000ルクス前後の光で、光飽和となり、それ以上強い光が当たっても光合成量が増加しなくなります。ではそれ以上の光が必要ないのかそうでないのか?30,000ルクスという数値は大学や試験場で、1枚の葉を取り出して行った実験的数値であり、実際温室で植物を栽培する場合は、若干理解を変える必要があります。すなわち、実際の栽培では、葉は折り重なって存在し、上の葉の表面が30,000ルクス以上あっても、下の葉は陰になっていますから、10,000ルクス以下になっていることが多い訳です。実際真夏の晴天日、ハウスの中で直射日光が当たっているところは、80,000ルクス程度あると考えられますが、この場合、直射日光が当たる葉は光が強すぎて葉焼けをおこします。そこでみなさんは遮光カーテンを用いるわけです。遮光カーテン(仮に50%遮光)を用いると、一番上の葉は40,000ルクスとなり光合成飽和量よりやや高い値に収まります。しかし、上部の葉に遮光されている多くの葉は10,000ルクス以下の状態に陥ります。多くの生産者はこの方法を支持するのが日本の園芸の甘さです。つまり、直射日光が当たっている葉だけは光合成が最大ですが、多くの葉は光不足に陥ることになります。これでは植物全体としては、最大の生産量を得ることは出来ません。それではどうしたらよいのでしょうか。

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