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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

内田孝明さん(熊本県阿蘇郡)の場合

減反率が上昇し続けると共に、水田転作がすすめられている。採算性のある転作を可能にするためには、どこまで土地改良、土壌改良が必要であり、如何にそれを進めていくかの経営判断が、個々の農家に問われることになる。
 今回、熊本ヤンマー農機販売(株)とスガノ農機(株)熊本営業所の協力で、内田さんの圃場に土壌改良のための石灰散布が行われた。それに先立って、関氏によるセミナーが開かれ、「阿蘇の土について」「泥炭土の改良について」の解説をして頂いた。(編集部)

関: 今日はお集り頂きまして、皆さん有難うございました。

 皆さんには、内田さんの圃場を通して、自分の圃場をどうするのかを考えて頂ければと思い講議をさせていただきます。

 土の解説書は得てして、すぐに眠くなってしまうような難しい書物ですが、私は、土を語って伝える仕事が必要ではないかと考え、この仕事を始めました。

 まず土がどのようにできるのかを見てみると、土は岩石が風化してひびが入り水がたまり、さらにひびが広がり、ボロボロの状態になりそこに微生物、カビ、藻類、地衣類、より高等な植物が生え死骸がたまってできてきます。

 皆さんには、自分の取り組んでいる土がどういう岩からできているか(母岩が何か)を知っていただくことが大変重要なことです。

 日本の土は一般に酸性であると言われています。世界地図を広げて土壌が酸性であるところを見ると、そこは大抵多雨の地域であることがわかります。それは、雨が空中を通って炭酸ガスを取込み、炭酸を含む水となり、それが土の中に浸透して、土壌中の石灰、マグネシクム(苦土)を溶出させてしまいます。多雨によって、カルシウム、マグネシウムの不足した土になり、結果的に酸性の土になるのです。

 この地域が酸性であるのは、それとは違いこの地に特異的なものによります。阿蘇からは白川が流れ出ています。川がなければ、ここはカルデラ湖になっています。つまり水がたまりやすいところです。ここは、水ゴケ、ヨシ、マコモ等の湿性植物が生えていたところで、かなりの量の植物が堆積しています。排水がよければ、植物の死体は分解されて、二酸化炭素と水になるのですが、ここは排水が悪く、分解が途中で止まってしまっているのです。そうすると、分解途中で生成される有機酸が土中にたまってしまい、それが阿蘇が酸性土壌であることの原因となっています。内田さんの土にも湿性植物の残骸が形あるまま残っています。

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