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編集長対談

加工食品企業の生鮮トマト流通への挑戦

過剰包装の問題点
経営感覚を持った生産者にお願いしたい


昆:「カゴメ」さんは、昨年、新聞報道で派手に『「食品メーカー」がアグリビジネスに参入』などと騒がれていましたが、実は日本で初めて「契約栽培」に取組んだ企業でいらっしゃる事はあまり知られていません。

 農業生産現場の事も、消費者の事も知り尽くしていらっしゃる「カゴメ」さんが考える、今後の農業、青果流通の方向性や、コンセプトなどの事をお話していただきたいと思います。

 まずは、生のトマトの小売に取組むようになった経緯をお聞きしたいのですが…。

萩原:「生鮮トマト」を始めるキッカケは10年くらい前のことです。那須の工場にスーパーのトップや部長さんクラスの方、またはバイヤーの方が見学に来られると、圃場で「完熟したトマト」を見るわけです。で、皆さんが「これをなんとか青果として売ってくれないのか」と言われました。 当時は私どものトップも、加工用の原料を生食用で売るなんて事は、全く考えてはいませんでした。しかしそんな事が何回かありまして、しかも関心を持たれる方が多かったもんですから、それじゃ、トマトはカゴメの原点だから、生にも取組んでみようということになったわけです。

昆:それはきっと、今の農産物の生産の仕方や取引のされ方に疑問を感じてる、生産、消費、流通の方が多いからではないですか。

萩原:そうですね。トマトだけを取っても、日本は世界と較べ、売り場が非常に貧弱です。桃太郎一辺倒の市場で、わずかにミニトマトがある程度ですよね。外国では、消費者の選択肢がはるかに多いです。

 そこで、私どもが99年間培ってきた事が消費者の方と生産者の方に、少しでもお役に立てるんじゃないかっていう事が根底にあったような気がします。

昆:日本の「契約栽培」のスタイルをお作りになったカゴメさんが、農業構造の変化に伴って、これまでの「契約栽培」のシステムを維持する事が難しくなってきているということはないのでしょうか?

萩原:やはり、よその国から見た時、日本の農業は、特に後継者不足の事と、農業者自身の自立性という事に「歪み」がある気がするんですけどね。

昆:「俺はカゴメに作らされている」とか、あるいは「単価いくらで買ってくれる?」というように、まるで労働者が賃上げを要求するといった感じの取引、いわゆる契約というよりも上下関係みたいな構図になっていて、日本では健全なパートナーシップが築かれていないような気がします。でもこれからは、農家は「労働者」ではなく「農業経営者」にならなければいけないのではないかと思うんですが?

萩原:そのためにも農家一軒じゃ大変ですが、3、4人が集まり法人化し、大型化をし生産効率を上げる事が必要ではないでしょうか?ただご承知のように、日本の農業は施設などを作るのにコストがかかりますから、農協さんや経済連さんが生産者とともに、経営規模の大型化に取組むのが理想的な形じゃないかと感じてます。

 そして、経営感覚を持つという事になれば、我々もお手伝い出来ると思っています。

昆:ただ単に生産規模を大きくするという意味ではなく、経営の感覚を持つという事が大切だという事ですよね。

萩原:そうですね。


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