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【思考索語】

お店はあなたのためにある

九鬼周造の「いきの構造」は、若い頃から何度となく読み返したことがある。一時期ベストセラーといわれた「甘えの構造」は一度も読んだことはない。従って、著者はもとより、その内容についても全く知らない。
　九鬼周造の「いきの構造」は、若い頃から何度となく読み返したことがある。

　一時期ベストセラーといわれた「甘えの構造」は一度も読んだことはない。従って、著者はもとより、その内容についても全く知らない。

　一九七〇年代、半導体の仕事で欧米を飛び回わっていた頃のこと、マイアミにあったデジタルIC工場のゼネラルマネージャーと、スイングフルバンドに機を衒うようにリクエストした、マイアミビーチルンバを聞きながら、話題が“専門店”とは何かに及んだ。ウエストパームビーチのコロナデスホテルでのことである。

　わが国で“名門”という活字は、○○名門酒会や名門校といった程度で、普段あまり目にすることはない。

　また、商業界においてさえ、“専門店”と“名門店”の区別は必ずしも明確でないばかりか、専門店が多用され、名門店という表現は殆どない。

　名門店は、英語でプレステージストアといい、ご存知の方も多いかと思うが、彼のゼネラルマネージャーによれば、プレステージストアとは、「自店で創り出した流行・ブーム・ファッションを、他者（他社）の力によって消し去られるのではなく、自店自ら消し込むことの出来る力を持った店」のことをいうのであるという。

　わが国での、洋服だけを売っているから、時計だけを売っているから等々、それぞれ専門店としているのとは、その厳しさにおいて天と地の差を感じざるを得ない。

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