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女だからの経営論

しあわせの値段って?

「ごめんねー。ちょっとうるさくて揺れるけど、我慢してねー。この子がお腹にいた時は、そう言いながら、臨月まで運転してたのよ」肥料用の作業場で、パワーショベルを操縦しながら、森川美保さん(33歳)が話してくれた。私も座席の横に乗せてもらったが、ブルブル揺れるし、かなりうるさい。これでは子宮の中もさぞや賑やかだっただろう。それでも彼女は今年の4月12日、長女の季の野ちゃんを無事出産。まだ生後1カ月の赤ちゃんは、かたわらの畑でひいおばあちゃんに抱かれてすやすや眠っていた。彼女にとってこのエンジン音は子守歌代わりなのかもしれない。
「ごめんねー。ちょっとうるさくて揺れるけど、我慢してねー。この子がお腹にいた時は、そう言いながら、臨月まで運転してたのよ」

 肥料用の作業場で、パワーショベルを操縦しながら、森川美保さん(33歳)が話してくれた。

 私も座席の横に乗せてもらったが、ブルブル揺れるし、かなりうるさい。これでは子宮の中もさぞや賑やかだっただろう。それでも彼女は今年の4月12日、長女の季の野ちゃんを無事出産。まだ生後1カ月の赤ちゃんは、かたわらの畑でひいおばあちゃんに抱かれてすやすや眠っていた。彼女にとってこのエンジン音は子守歌代わりなのかもしれない。

 これまで「大きな機械はどうも苦手」という奥さんの声を何度か耳にしてきたが、彼女がショベルを自在に操る様は実に楽しそうだ。

「どうしても機械ですくいきれない部分があるでしょ。そんな時は、私がこれを運転して、ダンナがスコップで隅の土を集めてたりして(笑)」

 私が美保さんと初めて会ったのは、今年の3月。彼女はまだお腹に子どもがいて、私は2カ月の娘を抱えていた(詳しくは39号の記事をご覧ください)。

 とにかく就農間もないけれど、夫の光男さんと始めた農業にムチャクチャやり甲斐を感じていて、出産後もバリバリ働くんだと張り切っていた。

「産まれたら、取材に行ってもいい?」

という私の申し出を快諾してくれたのであるが、わが身を振り返っても、産後1カ月といえば、まだフラフラで家の中のことだけでも精一杯なのに、本当に行っていいんだろうか? と思いながらも再会を果たすべく、5カ月目前の娘と専属ベビーシッターの夫を引き連れて、愛知美浜町を訪れた。そしたらいきなりパワーショベルをブンブン……すごいなあ。


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