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江刺の稲

「行商」に学ぶマーケティング

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第42回 1999年08月01日

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本誌執筆者である新海和夫さんは、雪印種苗を退職して農業経営者となり、さらに現在では、単に農業生産だけではなく、農業だから可能な様々な事業を果たしていくための会社、(有)元気村を地域の人々とともに起こし、その経営に取り組んでいる。
 本誌執筆者である新海和夫さんは、雪印種苗を退職して農業経営者となり、さらに現在では、単に農業生産だけではなく、農業だから可能な様々な事業を果たしていくための会社、(有)元気村を地域の人々とともに起こし、その経営に取り組んでいる。それには、新海さんのお祖父さんの時代から続けてきたという行商での経験がきっと活かされているはずだ。

 現在、千葉や茨城で行商を続ける人の多くは、2、3町歩の畑に多品目の野菜を作り、週に何度か自家生産の米や野菜の他に仕入れた品物も含めてトラックに積み、夫婦単位で決まった場所を回って歩いているのだ。個人の家庭だけではなく、食堂や病院などもお得意さんだ。

 食糧難の時代には、行商は荷物を担ぐ力があれば誰にでもできる仕事だったのかもしれない。でも、それだけの人は物が豊かになり流通業が発展するにつれ消えていった。

 しかし、スーパーができて行商が成り立たなくなったわけではない。むしろ、今だからこそ、彼らは他の流通チャンネルでは与えることのできない満足を顧客に提供しているのだ。

 商売の原則には新しいも古いもない。行商もお客様に必要とされる現代の業態なのだ。むしろ、農産物流通について様々なことが語られる今だからこそ、農業や農産物流通にかかわる者は、行商の成功の秘密に注目し、農産物販売者としての彼らに対する顧客の信頼の意味を問うべきなのだ。

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