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農業経営者ルポ「この人この経営」

美味しさと安全性にはプロとしての責任がある

岩崎勇幸さん、和子さんの農園は水戸の郊外、茨城町大戸にある。庭先には、野菜や果物を買いに来た人たちの車がいつも停まっており、作業場の縁台では、試食のメロンをつまみながらの茶飲み話が続いている。座り込んだお客はなかなか帰らない。
直売店経営の決め手は場所や値段ではない


 岩崎勇幸さん、和子さんの農園は水戸の郊外、茨城町大戸にある。庭先には、野菜や果物を買いに来た人たちの車がいつも停まっており、作業場の縁台では、試食のメロンをつまみながらの茶飲み話が続いている。座り込んだお客はなかなか帰らない。

 岩崎さんは、水田3ha、畑3haの大きな専業農家だが、その生産物はすべて庭先で売れてしまう。宣伝に金をかけている訳ではない。岩崎農園産は美味しいとの評判が口コミで伝わり、毎年、客数が増えていく。3haのコメは秋前の7月にはすべて予約完売してしまう。新規のお客には一人30kgまでとしているが、それでもコメは足りなくなり、やむを得ず岩崎家で食べる分は和子さんの実家から補給してもらっているほどだ。

 場所が便利だという訳ではない。入り口に看板は立っているが、街道沿いの店という訳でもない。売場といえば、奥まった作業場にある畳一枚ほどの縁台だけである。岩崎さん夫婦は話し好きだが、自分の農産物を美味しいとも、安いとも言わない。お客は、試食品をつまみ、岩崎さんとおしゃべりをして、納得すればまずは控えめに買っていく。もちろんそれで終わりという人もいるが、再来して今度はどっさり買っていく人も多い。お客の知人への贈答宅配を頼まれることも度々である。すると次には贈答先から電話やFAXで注文が入る。当初は水戸市周辺のお客が中心だったが、いまでは顧客リストはほぼ全国に広がっている。岩崎さんは「直売店経営の決め手は場所や値段ではない」と言う。


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