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社会的不確実性の高い時代には何が必要か
東日本大地震では、様々なレベルで「信頼性」が問われている。希望的観測と内輪の倫理に基づいた利己的な言動が結果として信頼を損なっている。1998年に出版された本書は、社会心理学者が実験研究を通じて検証した信頼に関する理論である。メッセージを一言でいうと「集団主義社会は安心を生み出すが信頼を破壊する」というものだ。社会的不確実性の低い環境では「内集団ひいき」が自分や構成メンバーに利益と安心をもたらしていた。このような「安心」関係は決して他者に対する信頼を持っているわけではなく、相手に対して依存するが、手痛い損失を受けると過剰に防衛的な状態になるという実験結果が出た。社会的不確実性の高い環境で必要になるのは、他者の信頼性を正確に見極めることである。それは他者一般に対する信頼持つこと、正直かつ公平にふるまうことが重要と考えること、まわりと助け合あっていく必要があると考えることと深い相関にあるという。説教くさいかもしれないが、ち密な実験結果であることが興味深い。事実をたどって丁寧に読む必要がある。(松田恭子)
信頼の構造―こころと社会の進化ゲーム
posted with amazlet at 11.10.28
山岸 俊男
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