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BOOK REVIEW

競争と公平感―市場経済の本当のメリット

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著者:大竹文雄
定価:819円(税込)
 出版社:中公新書


なぜ日本人は市場競争が嫌いなのか?

市場経済ですべてがよくなるとは考えていないし、貧困者を国があまねく面倒見るのもどうかと思う。この市場競争と政府による再分配政策に対して“両方反対”気分でいるのは、天邪鬼な性格の私に限ったことではなく、日本人特有の傾向らしい。

その統計を示してくれた本書は、多彩な研究結果を用いて、なぜ日本人が市場競争に対して拒否反応を示すのか、その本質を明らかにしていく。ひとつの理由として挙げられる「市場主義が既存大企業を保護する大企業主義と同一視されてしまった」という指摘は目からウロコ。私は市場競争というシステムではなく、その向こうで利益にありつく奴らが気に食わなかっただけなのだ。

そのうえで著者は、市場競争はデメリットよりもメリットが大きいことを平易に解説する。教科書に書いてある「市場競争=よきもの」をただ頭に刷り込んだ身としては、初めて市場競争の存在が立体的に見えてくるのだった。競争することに疑問を感じている人はこの本を読めば瑞々しい気分で市場と向き合えるかもしれない。(鈴木工)


大竹 文雄
中央公論新社
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