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特集

何が変わり、何が変わらないのか、そして何を変えるのか 農業経営者たちのあの時そして今

本誌が「農業経営者」という誌名を冠して創刊したのは平成5年5月であった。
本誌が「農業経営者」という誌名を冠して創刊したのは平成5年5月であった。同年10月、日本農業経営学会では4人の農業経営者を招いて「農業経営の企業者マインド」と題したミニシンポジウムを開催している。それから6年の年月が経った。その間、我が国の農業や農業経営者を取り巻く環境は大きな変化を遂げた。経営規模や売り上げの大小あるいは経営の在りようは様々であっても、農業の経営主体として自らの農業経営者たる道を模索してきた人々にとって、この年月は単なる時間の経過ではない歴史の転換を意識させるものであったのではなかろうか。6年も前に行われたシンポジウムを今、敢えて採録するのは、時代の牽引車として農業をリードしてきた4名のパネラーたちの当時の発言と今を紹介することを通して、我が国の農業と農業経営者の現在の未来を見つめるきっかけとしたいと考えたからである。


農業で自己を表現する経営者たち


 経営は「自己の表現」である。これがこのミニシンポジウムを終わった後の感想だった。

経営は、自分自身の生き様を構築しなければとてもやっていけるものではない。皆と同じコトをやっていてもやれるものではない。思いが必要だし将来展望が必要だ。経営活動こそが経営者にとっては自己主張であり原点である、そんな事を改めて教えられたシンポジウムであった。

 このシンポジウムは「日本農業経営学会」の10周年を記念し、平成5年10月16日東京大学の8番教室で行ったものである。ミニシンポジウムではあったがおよそ会場は満杯であふれかえっていた。「農業に経営なし」などと農業経営学者が言っている間に現実には多くの経営が育っているのである。

 ただいくつかの問題が私たちに残された。「自己を主張」する農業者がいまの農村で受け入れられるかどうかという問題である。そのことは逆に言えば、農業経営者がいまの農村から出現するかどうか、ということでもある。いわゆるムラや集落などという大勢に気を配ったりすることが、実は知らず知らずの内に農業経営者の創出基盤を堀崩していることに我々農業経営学者は鈍感だという点である。

 ここに出 てきた4人は実は地域の中では異端者である。アウトサイダーとしての自分自身という表現もシンポジウムの最中にでてきている。果たしてなぜ異端者となるのだろうか?彼らは好きこのんで異端者となったわけではない。

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