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今年の市場相場を読む

輸入品との「棲み分け状態」を見る ブロッコリー、アスパラガス、オクラ、ゴボウ

 生鮮野菜の輸入は、年間多い年で70万t程度。国内流通量は、年間約1400万tだから、輸入品はわずか5%程度のものだ。ただし、品目によってはもっとシェアを持っているものもある。いずれにしても、品目ごとに国産と輸入品との“棲み分け”の状況を的確につかんでおくことが必要だ。単純に輸入品を敬遠するという意味ではなく、その役割や需要の受け皿を知っておくことで、徒な危機感を持つこともないし、一方では、国産品で容易に代替できる場合もあるからである。
ブロッコリー 「国産優先」で共存共栄へ。輸入品の7割が市場を経由



【概況】

 ブロッコリーの東京市場の入荷状況をみると、産地別ではアメリカがトップの33%のシェアで、2位が埼玉の22%、3位が愛知の20%となっているが、平成10年の輸入量ををみると国産の数量に匹敵する7万5千。単純計算すると、輸入量の3割以上が市場外流通していることになる。しかも、平成9年対10年では、主産地の埼玉、愛知を始め全体の入荷が減少したのに対してアメリカ産は数量も単価も伸ばし、シェアも上がっている。とくに、野菜不足になった秋から冬にかけては、主産地の入荷が激減する中、ひとり気を吐いている感があった。


【背景】

 埼玉、愛知が秋から冬にかけての主産地なら、夏場を中心としては長野や東北・北海道がシェアを持つ。こうした流れの中で、アメリカ産はカリフォルニア州とアリゾナ州の4産地から、周年でコンスタントな供給体制を持つ。しかし、数量的にも多い秋~冬にかけては、輸入品は抑制ぎみであり、夏場を中心とした供給量が少ない時期には数量もシェアも多い。要するに、その入荷状況をみると、はっきり「棲み分け」を意図した動きになっているのだ。輸入品は安いという前提があるものの、それだけで国内需要が賄えるわけではない。とくに現在では「原産国表示」が徹底しているため、消費者の購入の目安は価格だけではないのだ。輸入品の供給側はそれをよく知っている。輸入品の市場外流通が3割程度ということは、逆にみれば7割も市場流通している、ということだ。


【今年の対応】

 輸入品が国産を淘汰する気はなく、共存共栄の姿勢がみられるといって国産側が安心していてはならない。輸入品の大きな特徴は、価格と計画性である。JA埼玉県がブロッコリーで、1本単価をあらかじめ提示して市場出荷する「期間値決め」方式を採用するなどの動きは、需要側から注目されているし、産地が移動しても一元的に計画納入してくれる流通業者が支持されている。輸入品がこれだけの供給体制を持っている以上、国内産地は品薄を狙ったり、高値だけを追い求めるような生産・出荷体制を捨てなければならない。適正価格を前提にした「生産原価」をもとに計画的、安定的な出荷体制が組めれば、新たな産地といえども、需要はある。ブロッコリーはまだ需要が伸びる。

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