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アジア小農業の再発見
1960年代後半から東南アジアを中心にして起こった「緑の革命」はよく知られている。高収量品種、農薬、化学肥料の導入と単一作物化、機械化、大規模化が進んだことによって、食糧が増産され、食糧自給率が高まると共に、労働力を工業生産へ廻すことが可能となり、経済成長を支えることになった。しかし、それによる歪みも表れてくる。連作障害による土壌の疲弊、土壌が剥き出しになることによって表土流出、乾燥化が起こりつつある。これらは戦後、日本が歩んできた道でもあり、欧米が歩んで来た道でもある。著書はタイトルに「小農業の再発見」とあるように、伝統的複合農業への回帰を唱えている。また、本誌38号で紹介された管野さんが推進するレインボープランを取り上げ、循環型地域社会を推奨している。
しかし、品種改良技術や農薬、機械化といった農業への先端技術の導入を拒否している感があるところは、本誌と意見を異にするところである。複合農業や適切な肥培管理による連作障害の克服、循環型地域社会の創設は、本誌の唱えるところでもあるが、単に近代技術を捨てるのではなく、伝統的技術を取り入れながらも先端技術が進歩していくことによって、問題の克服が可能となっていくのではないかと考える。現在の東南アジアでは、近代技術のよい点と、いまだ解決されていない問題点が凝縮した形で表れているのであって、その克服は、欧米や日本と同様の歩みをしていくのではないだろうか。
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