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BOOK REVIEW

「空気」の研究

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著者:山本七平
定価:490円
 出版社:文藝春秋


「空気」の研究

著者である山本七平氏を御存知だろうか。大正10年東京生まれ。青山学院大卒業後、山本書店という出版社を創立し、多くの著書を世に残し、平成3年12月に亡くなられた。氏は4つの世界を持っていた。一つは日本人論の世界で、これについての著書は近年大流行の日本人論の始まりとなった。2つ目は軍隊論で、これは氏が5年間の軍隊生活や、フィリピンでの地獄の中で確立した精神論だけではなく、日本人論、人生論、アメリカ人論、経営組織論にまで及ぶものとなっている。3つ目は聖書論。ギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語の多くの古典の世界に通じている氏は、旧約聖書の中の神話を現実の物語として我々に見せてくれている。そして4つ目は山本書店の店主としての世界だ。この世界は、やもすれば現実にそぐわぬ理想論を掲げていると見られる氏が、実際に経営者として現実の世界でも優れた人物であったことを証明している。本著は第1の世界(日本人論)の中での展開を見せているが、その中には軍隊論、聖書論、経営論の世界が深く絡まって、読むものに濃厚な感銘を与える。タイトルにある「空気」というのは日本人、または日本の社会が持っている変えることのできない雰囲気のこと。自分研究、または自分が生きている社会を知るための1冊として最適だ。


「空気」の研究
posted with amazlet at 11.11.02
山本 七平
文藝春秋
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