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後継者のいない米作を近代的産業に!

昭和35年度産米の10a当たりの全国平均収量は448kgで世界一でした。米価も1俵(60kg)4,161円でアメリカ等と同等で、日本の小農による10a当たりの収量は欧米の企業的大農に勝っていました。
1 米作の衰退とその現代化

 昭和35年度産米の10アール当たりの全国平均収量は448kgで世界一でした。米価も1俵(60kg)4,161円でアメリカ等と同等で、日本の小農による10アール当たりの収量は欧米の企業的大農に勝っていました。

 その後40年経った現在、日本は未だに田植えを続けており、平成11年度全国の10アール当たりの平均収量は510kgで農協の買入れ米価の15,000円は世界最高ですが、我が国の食料自給率は28%で農家一戸当たりの扶養人口は欧米の10分の1以下です。現在欧米の米価は1俵換算3,000~4,000円で、直播きで10アール当たり700kgを越え、海外の大農経営は10アール当たりの収量で日本の小農を越え、食味でも日本と同等のものを作るようになりました。

 欧米の約4~6倍の米価にかかわらず昭和35年度には全国で14万人もいた新規学卒就農者は激減し、平成10年度は2,200人になりました。これは主として園芸農家で米作農家の後継者は全体の10%以下と思われます。私の集落の米作農家の働き手の平均年齢は72歳になり、51歳以下はいません。米作農家の平均耕作面積1.5ヘクタールから穫れる約130俵の米価はせいぜい200万円ですから田植え機から籾摺機まで合計して約1,000万円の農機具等の代金を米の売上金で賄うことはできません。米作農家は皆私の一代限りで米作は終わりですと言っていますが米作を今後どうするという具体策がありません。

 WTOによる輸入自由化後、1俵10,000円以下になれば、米作を止める者が続出し、水田の地価は10アール100万円以下になると思います。このような自作小農の終焉は歴史の歩みで後戻りはありえません。

 今後小農を集めた水田産業(農場制企業)としての米作はスーパー圃場(2~10ヘクタール)で30ヘクタール以上を二毛作し、経営には計画と管理をパソコンで行い、情報にはインターネットを使い、先端技術を取り入れ、大型農機は作業請負として外注し、不足労力は雇用し、1俵当たりの生産費は欧米より安くし、年間売上高は1億円を越え、従事者の所得は他産業以上になる企業にすることを目標とする事業計画でなければなりません。

 集落の中に米作の現状を憂え、水田産業を志向する地域リーダーがいるならば、先ず自分の集落の現況を調べ、同志と共にスーパー圃場を作って大型米作に成功している先進地を視察した上で、土地改良区や市町村・県の土地改良担当部局に行き、土地改良の手順を教わり、援助を受けることが第一歩です。

 その上で区域を定め、準備総会を開いて委員長を決め、10アールの利益配当(地代)を先進地と同じ最低3俵相当額(水利費を含む)として、スーパー圃場を作るため100%に近い同意を取りまとめると同時に、自作者の50%以上を地主組合に集め、委員長は組合と協議して水田産業(法人)の代表(経営者)を決め、土地改良と営農計画の一貫した事業計画を作ってから土地改良事業の認可申請をします。

 全国の平坦地の水田は90%以上が区画整理されていますから、500分の1以下の勾配の所で農道の間隔約200mのスーパー圃場を造る場合、10アール区画では従前の農道は約2分の1を廃止し、30アール区画の圃場では農道はそのままで、小用排水路と畦畔は廃止、整地と用排水の出口と暗渠排水だけを施工する計画で事前換地を行い、増歩を土地改良事業以外の公共用地等に提供し、その代金を工事費にあてれば負担金のかかる所はまれです。

 完成後2ヶ年は整地と暗渠排水等の手直しのため、法人の準備会が中心になり、地代を3俵払って地区全体の耕作を行い、美田に仕上がるべきです。


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