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だれが中国を養うのか?
レイチェル・カーソンの「沈黙の春」によって始まった現代の環境運動は、「環境汚染」といかに戦うか、ということをその焦点としてきた。しかし本著は、環境問題のより基本的なテーマとして「人間の需要の増大を満たせるだけの食糧を生産する地球の能力の限界」にいかに対処すべきか、という深刻な問題を提起している。地球の人口は増え続けている。とくに中国は、向こう40年間にわたって毎年およそ1200万人の人口を世界に追加し続けることになるという。中国では、人口増加による消費増大のみを考慮しても2030年に2億700万トンの穀物不足が生じ、これは1994年の全世界の穀物輸出量にほぼ等しいという。さらに人口増加に加え、(昭和40年代からの日本とまったく同じように)経済的にも成長が続くことにより、耕地はますます縮小を続け、一方で、穀物をより大量に必要とする肉やビールなどの消費量が増える。この危機的状況は中国の国内問題にはとどまらない。安全保障の面でも、軍事的侵攻ではなく食糧不足を平和に対する脅威として認識する時代がやってくるのだろう。世界の一人当たりの穀物生産量や海産物供給量は、すでに減少を始めている。“Wake-up Call for a Small Planet”という原著の副題が示すとおり、今後予想される中国という大規模な穀物輸入国の登場は、私たちを眠りから覚ます警鐘なのである。
だれが中国を養うのか?―迫りくる食糧危機の時代
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