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BOOK REVIEW

家畜ふん尿のハンドリングと活用―(土・草・家畜)の資源循環の再生をめざして

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著者:塩谷哲夫
定価:2,200円
 出版社:酪農事情社


家畜ふん尿のハンドリングと活用

「日本の酪農には足があるのか」という問いかけがある。高泌乳量を追求するあまり、乳牛に輸入穀物飼料を多給する現在の“フォアグラ的”酪農は、土と牧草つまり“足”を欠いているというわけだ。これにより乳牛死廃事故増加といった弊害も起きているが、さらに深刻な問題は“土→草→家畜”という有機物循環体系の破壊、具体的にはふん尿の「産業廃棄物化」である。現在、家畜・家禽の全ふん尿を飼料作物面積にのみ還元するとすれば、平均還元量は一部道県を除くすべての地域で施用基準の3倍を超えるという報告がある。これでは輸入原料で製品を作り、同時に大量の産業廃棄物を放出している工業と同じだ。しかし同じ報告によれば、これを全耕地に還元すれば望ましい施肥水準を若干超える程度であるという。厩肥を軸とした酪農と耕種の連携が急務なのだ。一方従来家畜のふん尿処理の技術革新は、搾乳、飼料生産などのそれと違って直接増収につながらず後手後手であった。しかしそのことが逆にこの分野を最も労働負担の大きい、非効率=高コストな作業としている。本書はその作業体系を改革し、同時にふん尿を資源として耕種へ還元する方法を説く。しかも畑作の作業技術研究の経験もある著者は、雑草発生の少ない厩肥生産など、耕種農家側に立った記述にも頁を割き、耕種との真の連携をめざすよう訴える。

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