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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

群馬県倉渕村・佐藤勝美さんの場合

有機栽培と言っても、生産する野菜の品質を度外視すれば、それは簡単なことである。その品質を考えた時、土壌の成分バランスを整えるための模索が始まる。自らの圃場で土壌分析と実験を重ね、正統派とも言える有機栽培に取り組む群馬県倉渕村・佐藤勝美さんの場合。
関:この辺りは榛名山の火山灰が降って形成された土壌なのでしょうか。

佐藤:そうです。黒ボクで数ミリ角の軽石が含まれています。

関:基本的に露地で野菜を作られて。

佐藤:はい。山間地ですので、畑は標高300mから800mの間に四カ所、計2ヘクタールあります。その標高差を利用して、桜の開花でいえば約20日の差ですが、年間30~40種の野菜を栽培しています。

関:佐藤さんが土に興味を持たれたのはいつごろから。

佐藤:私が就農したのが昭和41年、昭和46年に埼玉県の有機農業の現場を見学したのを契機に有機野菜作りに取り組みました。はじめは鶏糞を使っていたのですが、一時期リン酸を効かせると野菜の味がよくなると本で読み、黒ボクはリン酸吸収率が高いと言われているのでちょうどいいと思い、骨粉をいれました。そうしたらだんだんおかしくなってきた。そこで県の経済連で土壌分析をしてもらったところ、土壌中のリン酸が高いということが分かったのです。更にカルシウムも高い。それから本格的な土との取り組みが始まりました。

関:現在はどのような。

佐藤:チップと米ぬかを混ぜて3年間野積みにした堆肥と、魚粉、かに殻、ゼオライト、木酢液、炭を使っています。魚粉は骨のあるのはリン酸が高いので、身粕を使っています。これはナタネ粕よりずっといいです。ナタネには1%リン酸が入っていますが、魚の身粕はリン酸がゼロですから。

関:マグネシウム分はどのように。

佐藤:硫マグ(硫酸マグネシウム)を入れています。土壌分析の結果からもマグネシウムが少ないでしょう。ですので硫マグを入れると効果が現れる。堆肥を入れて、さらに足りないところには化学肥料を入れても、マグネシウム分が足りないところが出てくるので。

関:硫マグも海水から取るものと、蛇紋岩から取るものがありますね。

佐藤:蛇紋はだめなんです。マグネシウムが石にくっついてなかなか出てこない。ですので、少々高いのですが、中国の天然塩のにがりをうちでは使っています。それに木酢をやることによってゼオライトからケイ酸が溶けだしますよね。つまりゼオライトをボカシとして使うわけです。ケイ酸を使うことで作物はよくなります。キャベツのような野菜類はイネ科の作物と違い、ケイ酸を溶かせない。そのために木酢を使って溶かせばと考えたわけです。


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