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BOOK REVIEW

ゴーマニズム宣言

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著者:小林よしのり
定価:480円
 出版社:幻冬舎


ゴーマニズム宣言

井戸は消えても井戸端会議はなくならない。井戸端会議は情報交換とともに、その瞬間のみの価値観を構築していく。そこに居合わせているメンバーの個々の価値観に抵触しない形で話は進み、メンバーが変わるごとに結論としての全体の価値観が変遷していく。参加者は情報のみを吸収して、構築された価値観はその場に置き去りにされるか、家に持って帰って肴にされ、その家庭の価値観でバッタバッタと切られた後、次の日の朝にはゴミと一緒に家庭から姿を消す。

ここ一〇年で、TVにコメンテーターという役割が定着した。彼ら、彼女らは評論家とは違い、自分の専門を展開の軸とせずに、また、自分の価値観に触れずに(東京発にその傾向が強い)ワイドショーという「TV井戸端会議」で好き放題に事件、現象を語る。

ほとんどのコメンテーターは「時代」や「時代とあなたがた」は語っても、「時代と自分」は語らない。近代合理主義に反するような「自分」を語り始めると、「聞き分けのない奴」と認定される。最近になり「聞き分けのない」コメンテーターが増えてきた印象もあるが、彼らはあくまでも全体の中ではスパイスであり、彼らの増加以上に具であるスマートなコメンテーターが増殖している。

この漫画の作者、小林よしのりは『東大一直線』や『お坊茶魔くん』など、一貫して「聞き分けのない」キャラクターを用いて異彩を放ってきた。

その小林よしのりが初めて直接的に時代を語ったマンガが「週刊SPA!」連載の「ゴーマニズム宣言」。ここで彼は、近代合理主義や、「メディアという場に規定された価値観」にかまうことはしない。「ゴーマンかましてよかですか」と前置きして「自己」を、そして「本能」を通して「時代」を語っていく。


ゴーマニズム宣言〈1〉
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小林 よしのり
幻冬舎
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