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【今年の市場相場を読む】
どんな料理に合うかで品種を見る ワケギ・長ナス・シシトウ・ソラマメ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第45回 2000年03月01日
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ワケギ 辛味・香りに対する復権 食文化と結びつく特徴
【概況】
東京市場のワケギは、非常に年間の入荷が安定しており、ほぼ1200t余である。月平均100tという数字だが、ほとんどが露地栽培であるために、春季に大きなピークがあり、秋に小さなピークをもつ。固定した需要が存在するだけあって入荷の少ない月には単価は確実に上がる。千葉、埼玉など関東産地で9割近いシェアがある、典型的な地ネギである。他のネギに代替しない存在だ。
【背景】
一時期、「万能に使える」という博多万能ねぎを代表とする小ネギにその地位を奪われるか、という観測もあったが、どっこい残った。その辛味と香り、食味が、根深ネギや小ネギとは代替せず、逆に小ネギの鞨鼓“味気なさ”に反発する形で、復活した。関西でいえば「九条ネギ」がこれに該当する(もっとも、関西では小ネギに淘汰されそうになったことはなかったが)。また、一方では春野菜としてのシュンをアピールする向きもある。平成10年の5月には本来ピークの時期に少なかったために端境期並みの相場になったほど、小売店においても重要な品ぞろえ商材になっているのである。
【今後の対応】
東京市場においてはいま、根深ネギと小ネギとワケギが、それなりのシェアを確定している。アサツキや芽ネギがこれから伸びる気配はないが、ネギ独特の辛味と香りによってワケギが、煮ると甘くておいしい“煮ネギ”として、これからまだ伸びる余地をみせている。それぞれ独自の役割と、調理との組み合わせで不可欠なネギだからだ。東京では、3品種のシェア分け合いだが、ネギは地ネギが各地に存在する。これらのネギは、用途が明確で、特定の料理はそのネギがなくては成立しない、というほどのものがある。これは、いわば「食文化」であり、今後、こうした地方発の商材が都会においても、受け入れられる可能性を秘めている。品目そのものというよりは、「食文化」を形成する食材としてである。魚料理などの臭みを取る。殺菌剤としての役割、料理に独特の香りを付加する、等々、ワケギの効能、機能性は継承すべき伝統、食文化である限り、これからその役割は重要だ。(民間医療レベルでは消炎、解熱効果もある)「辛味」がいまブームでもあるために、外食方面に対しては有効なメニュー提案が欲しいところ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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