ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

どんな料理に合うかで品種を見る ワケギ・長ナス・シシトウ・ソラマメ

野菜類もようやく「専用品種」志向が出てきた。どの品種がどんな調理や利用法に合うのか、それを提案することで「おいしさ」提案ができる。すでに大型品目になっているものでも、やはり代替の利かないものも多い。代替がきかないということは、固定した需要があるということだ。今回は、そんな観点で品目を見てみよう。「どんな料理にも合う」ということは、「どの料理にも中途半端」ということを、押さえておきたい。
ワケギ 辛味・香りに対する復権 食文化と結びつく特徴



【概況】

東京市場のワケギは、非常に年間の入荷が安定しており、ほぼ1200t余である。月平均100tという数字だが、ほとんどが露地栽培であるために、春季に大きなピークがあり、秋に小さなピークをもつ。固定した需要が存在するだけあって入荷の少ない月には単価は確実に上がる。千葉、埼玉など関東産地で9割近いシェアがある、典型的な地ネギである。他のネギに代替しない存在だ。


【背景】

一時期、「万能に使える」という博多万能ねぎを代表とする小ネギにその地位を奪われるか、という観測もあったが、どっこい残った。その辛味と香り、食味が、根深ネギや小ネギとは代替せず、逆に小ネギの鞨鼓“味気なさ”に反発する形で、復活した。関西でいえば「九条ネギ」がこれに該当する(もっとも、関西では小ネギに淘汰されそうになったことはなかったが)。また、一方では春野菜としてのシュンをアピールする向きもある。平成10年の5月には本来ピークの時期に少なかったために端境期並みの相場になったほど、小売店においても重要な品ぞろえ商材になっているのである。


【今後の対応】

東京市場においてはいま、根深ネギと小ネギとワケギが、それなりのシェアを確定している。アサツキや芽ネギがこれから伸びる気配はないが、ネギ独特の辛味と香りによってワケギが、煮ると甘くておいしい“煮ネギ”として、これからまだ伸びる余地をみせている。それぞれ独自の役割と、調理との組み合わせで不可欠なネギだからだ。東京では、3品種のシェア分け合いだが、ネギは地ネギが各地に存在する。これらのネギは、用途が明確で、特定の料理はそのネギがなくては成立しない、というほどのものがある。これは、いわば「食文化」であり、今後、こうした地方発の商材が都会においても、受け入れられる可能性を秘めている。品目そのものというよりは、「食文化」を形成する食材としてである。魚料理などの臭みを取る。殺菌剤としての役割、料理に独特の香りを付加する、等々、ワケギの効能、機能性は継承すべき伝統、食文化である限り、これからその役割は重要だ。(民間医療レベルでは消炎、解熱効果もある)「辛味」がいまブームでもあるために、外食方面に対しては有効なメニュー提案が欲しいところ。

関連記事

powered by weblio