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欺瞞の希望より、本物の絶望を
暗い世相とは裏腹に世の中にはポジティブな言葉が溢れている。「死ぬ気になれば何でもできる」「願えば叶う」等々ビジネス本といい流行歌といい、そんな言葉のオンパレードだ。
悪いとはいわないが、こんな言葉ばかり聞かされていると逆に空しくなる。そんな人に、ぜひこの本を薦めたい。
ここには『変身』で知られる偉大な作家カフカの名言が集められている。偉人の名言とはたいていポジティブだが、これはちがう。カフカは生涯を通じてネガティブな愚痴を吐きつづけた。あらゆるものに絶望し、すぐ弱音を吐く。「将来に向かって歩くことは僕にはできない。将来に向かってつまづくことならできる。一番うまくできるのは倒れたままでいることだ」
これは一例だが、その徹底した絶望ぶりはときに滑稽なほどで、笑いすらこみ上げてくる。絶望をつきつめると逆に気持ちがゆるんで、生きる力が湧いてくることに気づかされた。
やっぱりカフカは偉大だ。(田中真知)
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