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農業経営者ルポ「この人この経営」

共同組織の「限界」を超えて

【◎作業人員の合理的な配置】

 これもスケールメリットと言っても良いことであろう。

 農機具同様、作業人員も、以前は個別でそれぞれが手当していた。しかし現在は、各構成牧場から一人ずつを雇用している。彼らは、就労時間に応じ時給1200円を均等に支払われる。また、後継者不足の問題も、会社として従業員を雇い入れ、明るい兆しがでている。


【◎圃場作業のコントラクト】

 近隣農場からの圃場作業の委託を受け、コントラクターとして作業を行う。装備機械の稼働率を高める意味でも、地域の農業振興の意味でも意義深いものである。

 従来は、構成員の農場は他の酪農家と同様に、飼養管理と平衡しながら圃場管理、飼料管理、調製まで行っていた。

 個別農家が全ての作業を行うことでは、自ずとスケールメリットの追求に限界がくる。また、少人数の特定の人間に労働負荷が集中することによるリスクも大きくなる。

 共同利用の組織を組むことにより、それらの共同化できる作業は集中し、効率化し、スケールメリットの追求を行えば、構成員は自牧場の飼養管理に集中し、それに特化することができるのだ。


会社組織にした意味 利用組合ではなく、なぜ「会社」にしたのか?


 オコッペフィードサービスは、当初は机上の構想でしかなかった。

 近藤さんは、地域の酪農仲間と、何度も閉塞感と展望の見えない自分たちの酪農のあり方を議論した。その中で、飼料生産の部分に特化した機械利用組合の構想が浮かび上がってきた。色々なシミュレーションを重ね、やってみようとなるまでに3年がかかった。

 その段階では機械利用組合の形態を取っていたが、事業内容は、草地の集積、スケールメリットを活かした効率的な飼料生産、TMRに向けたノウハウの蓄積と現在のものとは大きくは違わなかった。

 一年後、現在の有限会社に模様替えをした。

 「会社形式にして、仲間達もビジネス意識を強く持てるようになってきた」会社組織にしたことの意義を尋ねたら近藤さんはこう答えた。

 「私たち農家には往々にして『まぁ仕方ない。こんなもんでいいや』という思考回路になってしまうことが多いのです」と。

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