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BOOK REVIEW

日本はスウェーデンになるべきか

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日本はスウェーデンになるべきか (PHP新書)

著者:高岡 望
定価:756円(税込)
 出版社:PHP研究所


自立した強い個人が支える福祉国家

IKEAで買い物をしたことのある人ならご存じだろうが、組み立て式の家具などはレジで精算を済ませた後、自分で倉庫まで行って高い棚から下ろして運ぶ。「お客様は神様です」的な日本式サービスと対照的なこの方式は、IKEAの発祥したスウェーデンという国の特性をよく表している。

高齢化問題を抱えながら、福祉予算の充実と財政の健全化を両立しているスウェーデン。米国型の市場経済優先社会が行き詰まりを迎えている今、それは日本のめざすべき新しいモデルとして注目されている。横並び意識が強く、シャイなメンタリティも日本人とよく似ているともいわれる。

しかし、IKEAのサービスのように、スウェーデン人は「自分でできることは安易に他者に頼らず自分一人でやる」という強固な自立性を重んじてきた。サービスの名の下に組織依存的な体質を作り出すことで需要を生み出してきた日本とは逆に、徹底した自立精神がEU危機にも屈しないこの国の強さを作り出してきた。スウェーデン公使を務める外交官による読みやすく奥深い好著である。(田中真知)

日本はスウェーデンになるべきか (PHP新書)
高岡 望
PHP研究所
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