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「世界のサラダ・ボール」に暮らして

特別版 アメリカ農業と田牧氏の農業経営者としての生き方

今回、竹野氏には「特別版」として本誌執筆者である田牧一郎氏の農業経営者としてのあり方や生き方について取材していただき、竹野氏が消化したなりの形で書いてもらった。アメリカに渡りコメビジネスに取り組む田牧氏の生き方は、同じくアメリカで野菜の生産・流通に関わる仕事をしている竹野氏の目にはどう映るのか。読者には、本号特集のテーマである「農業経営者のアイデンティティ」という視点から読んでいただきたい。
 なぜアメリカで米作りをしているのか?

 なぜアメリカで日本人好みの米を作っているのか?

 田牧氏からは様々な回答が返ってくるのだが、それらを一つに絞る事はできる。

――ビジネスだから。

 米作りはビジネスである。商売なのである。アメリカに来て、農地を購入してそこでは以前に生産されていなかった新しい米を作った。新しい市場を田牧氏自身で開拓したのである。

 新しい米、新しい市場といっても日本に住んでいれば、それは普通の米であり、それは既に日本に存在する大市場である。しかし、場所が違えば状況は異なる。日本ではありきたりの事柄が、アメリカでは非常に新鮮に写り、新しい事柄と認識され、新しいマーケットが創出される。

 タイムマシン経営というビジネスの進め方がある。それは国々の技術の進展の差、文化の差を上手く利用して、ビジネスに用いる方法である。例えばアメリカでインターネット・ビジネスが当たり前になっている頃に、日本ではインターネット・ビジネスはまだこれからといった状況であった。そこで多くの米国企業は、システムをそのまま日本に移入して、技術の遅れている日本の企業より有利な立場に立とうとしていた。以前そこに無いものを、他から持ってきて商売を始める、という方法はどの商品でも、どの業種でも当てはまりそうだ。農業は、いわばその繰り返しであろう。日本人が日本原産の野菜だけで生活していれば、どれほど食生活は今と違っていただろうか。チンゲンサイ等は今では当たり前のようにスーパーで販売しているが、それも日本に元々無かった野菜ではなかろうか。日本では、今韓国食ブームであるらしいが、アメリカも同様に様々な食文化が存在する。イタリア、フランス料理と並び、アメリカの様々な都市や地方で、日本食の無い街を探すのは難しいくらい浸透している。そんな日本料理店で利用されるお米、美味しいお米を田牧氏は生産しているのだ。

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