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【シリーズ TPP特集 】
TPPとわが農業(3)
【基盤整備の必要性】
染野実氏(茨城県坂東市)(1)
染野実氏(茨城県坂東市)(1)
- (有)ソメノグリーンファーム 代表 染野実
- 2013年01月23日
茨城県で有数の土地利用型経営を展開する農業法人を築き上げた染野実氏。近く来るかもしれないTPPに対しては、どう乗り越えようとしているのか。(聞き手・窪田新之助)
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分散した農地では太刀打ちできず
――2013年はTPP交渉参加をめぐっての議論が再び盛んになると思われます。政権を奪還した自民党は「『聖域なき関税撤廃』ならば反対」と掲げていますが、どのようにみてます?
そんなに都合良く行くのかなぁ、と思うよ。そもそもTPPは包括的にオールフリーでいきましょうというのが本来の考え方でしょ。そこに聖域を作ることが通用するとは思えないな。
――参加国の間では「聖域なき」とは明示されてないんですよ。
そうかもしれないけど、米国はわがままだから。TPPは参加国も多いし、あれこれ要求し合っていたら、最終的にはWTOみたいにまとまらなくなるんじゃないか。
――日本の参加不参加についてはどんなご意見です?
今の状況では入ったら困るな。だって、生産基盤が小さすぎて外国とは競争できないから。うちは畑が250枚か260枚と分散してるわけ。とても労働生産性が悪いのよ。それに水田の区画は過去に基盤整備をした30aのままだし。
1枚1ha以上のスーパー農地
――農地が大区画でまとまるなら、TPP参加の余地もあると。
そうだな。ただ、人・農地プランでは畦畔(けいはん)を取り払って大きい田んぼを作りましょうとやってるけど、これなんかまだ始まったばかりだしな。それに、この辺りのように営農意欲が高いところは、担い手の方が水田の貸し手より数が随分と多いんだよね。人・農地プランをやると、「俺も、俺も」となっちゃう。だから大区画化のための圃場整備を実施するのは、まだまだ難しいんじゃないか。うちの目の前には畑が20haあるけど、一枚が1反とか5畝とかあるから。耕作者はたくさんいるんだけど、本当なら20ha程度なんて俺一人でたくさんだぞ。だからTPPに入るにはスーパー農地が必要だな。
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染野実 ソメノミノル
(有)ソメノグリーンファーム
代表
1960年茨城県生まれ。茨城県板東市。1980年、茨城県立農業大学校卒業後、家業の農業に就く。パイロットになる夢が消え、自暴自棄になって進んだ農業大学校は同級生より一月遅れで卒業した。そんな染野は、父の元で働くことの中で茨城県を代表する農業経営者の一人に成長した。2011年、経営面積は水田36ha、畑45ha(麦29ha、ジャガイモ6ha、陸稲10ha、ソバ12haを二毛作する)。売上1億4,000万円。
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