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作物別経営研究

サツマイモ ~良質・多収のためのサツマイモ作りとは?~

【生育後半の窒素欠乏がイモを肥大させる】

 サツマイモは痩せた乾燥地原産の作物である。肥沃地では蔓ぼけになる。生育後半は葉の窒素レベルが低下して葉色が退緑、2日に1枚の出葉速度が低下して1週間に1枚くらいになるのがよい。生育後半と言うのは4ヶ月収穫であれば2ヶ月後、5ヶ月収穫なら2月半後と言うことである。いつまでも青々した畑のイモは未熟で太っていない。窒素施肥量をどの程度にして多収・良質を狙うかは、栽培する品種の耐肥性による。「ベニアズマ」のような耐肥性の強い育成品種はやや多窒素でも良いが、在来品種などは窒素減肥が良質・多収につながる。


【収穫時期は用途によって決める】

「完熟」と言う言葉が一人歩きしているせいか、収穫時期を遅らせてでんぷんの多い粉質イモを生産している農家が少なくない。とくにでんぷんの多い「ペニアズマ」では硬くなり、粉質過ぎて焼き芋や天ぷらには適さない。過熟イモになりやすいので注意を要する。「高系14号」などはしょ梗が木質化して硬くなる。一般には表皮がざらつき、外観が劣る。焼き芋や天ぷら(フライ)では、生イモの水分が蒸発するのでやや未熟の水分の多めのイモが美味しく出来上がる。品種では昔の「農林一号」の評価が高いのは、甘味の強いことに加えて適度な水分を保つからである。蒸かしイモは完熟に近い粉質が良く、ペースト、アン、マッシュなどの加工では過熟気味の水分の少ないイモが歩留まりが高い。肉質が硬くなり、加工適性は劣るが、歩留まりの向上の方がメリットが大きい。

 現在の早堀り収穫は品質向上よりも高値狙いで行われているが、今後業務向け需要が増加すれば、高品質を目的とした早堀りに移行しよう。鹿児島のでんぶん原料、焼酎原料を別にすれば、適期は挿苗後4~5ヶ月である。


【需要拡大を目的とした 多様な品種の生産】

 鹿児島、宮崎の紫イモ、カロチンイモや沖縄読谷村の紅イモがブームを呼んでいるが、古くからの産地であるカリブ海沿岸やポリネシア諸島では更に多様な品種が栽培されている。多いのはデザートポテトと呼ばれる粘質の甘味の強い品種、数は少ないが主食タイプの甘味のない品種(日本では「サツマヒカリ」)があり、それぞれ適した料理に使われている。日本で言えば「蒸し切り干し」専用の「タマユタカ」のようなもので、今後このような品種の普及が期待されている。既に育種段階では上表に挙げたように多くの品種が育成されており、調理法や新商品の開発を伴えば差別化品種の産地、生産者としての優位性が発揮できよう。ジャガイモではポテトチップス用の「トヨシロ」、フライドポテト用の「ホッカイコガネ」、一次加工向けの「さやか」などが市場出荷されることなく、主として契約栽培で大規模に生産されており、サツマイモのモデルとして参考になろう。

 但し、業務需要は利益第一で供給を求められるため、安定供給(品質、量、価格とも)が不可欠で市場出荷とは異なる戦略が必要となる。コストダウン、品質向上の努力と共に常に情報収集、新品種の開発、技術開発等の努力を要する。競争相手は国内の他産地でなく、中国などの海外産地である。

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