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作物別経営研究

サツマイモ ~良質・多収のためのサツマイモ作りとは?~

【個性的な新品種、在来品種の特性概要と調理法、加工製品】

(1)アントシアニンを含む赤紫品種

【アヤムラサキ】「山川紫」から育成された濃紫肉色の品種。食味不良のためペースト、フレーク、食紅原料として生産されている。やや少収で栽培しづらい。

【山川紫】パラグアイから導入された紫肉色の品種。耐肥性が無く、蔓ぼけし易い。鹿児島等ではこの子どもと思われる「新山川紫」の栽培が多い。沖縄を含めて数系統が栽培されているようである。これらは肉色はやや薄いが多収で栽培容易と言われている。

【関東117号(種苗登録準備中)」食味、収量性を改良した育成系統、製菓用に期待。

【宮農36号】読谷紅イモとして有名。肉色はやや薄いが、良食味で焼き芋に適する。

【備瀬】白皮の薄紫イモ。蒸熱処理施設の完成で読谷村から全国に出荷されるようになった。甘くて食味は良い。

【種子島紫】薄紫皮、肉色の大きな品種。食味は良く鹿児島で栽培されている。


(2)カロチン品種

【ベニハヤト】カロチン含量はニンジンより多いオレンジ肉色品種。低でんぶんで食味はやや不良。主にペースト加工され、菓子原料に使われている。

【ヘルシーレッド】「ベニハヤト」より薄いオレンジ肉色、食味はやや良であり、蒸し切り干し原料として期待されている。

【ジェイレッド】高カロチン、低でんぷんで、ジュース原料として使われている。

【サニーレッド】高カロチン、パウダー原料。

【ベルベット】北米から導入された鹿児島の在来品種オレンジ肉色に赤紫の斑紋が入る。沖縄の駐留軍や家族向けに移出されている。デザートポテトの一種。


(3)β-アミラーゼ欠の品種

【サツマヒカリ】糖化酵素β-アミラーゼを遺伝的に欠き加熱しても甘くならない。フライドポテト、コロッケなどジャガイモのように調理できるが普及していない。


(4)ごく美味しいと評判の古い品種

【紅赤】川越名産であったが、栽培が極めて難しく現在は千葉、埼玉のごく一部で生産されている幻の品種。本物の「金時イモ」である。市場に出回っている「金時イモ」は「高系14号」が多い。

【ベニコマチ】滑らかな肉質で甘味が強い、黄肉品種。これも栽培が難しく千葉県の一部の特産品。

【七福】白皮黄肉のやや小さなイモ、食味は「ベニコマチ」に似るがやや粘質。幻の品種。

【農林一号】敗戦直後は各地で栽培されていたが、収量が少なく、栽培しづらいため多収品種に変わってしまった。かつては島原半島などで生産され東京の石焼き芋に使われていた。粘質で甘く、変色せず、胸焼けもしない焼き芋に最適の品種である。


【無(減)農薬栽培の奨め】

 現在のサツマイモ栽培では土壌病害虫の防除に大量の土壌施用剤が使用されている。輪作、抵抗性品種、新規産地形成に徹すれば、これらの農薬は不要である(筆者は北海道で10年以上無農薬栽培を続けている)。中国など海外との競争に勝つためにも無(減)農薬栽培を奨めたい。

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