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シリーズ TPP特集

米韓FTAを通してみるTPPの誤解(2)「政争の具」 大東文化大学 経済学部社会経済学科 高安雄一教授

  • 大東文化大学 経済学部社会経済学科教授 高安雄一
  • 2013年06月26日
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2012年3月に発効した米韓FTA。直前にその是非を巡って巻き起こった韓国での反対の論調は、日本でもTPP交渉への参加を退ける材料としてそのまま使われてきた。大東文化大学経済学部の高安雄一教授は、この点にTPP反対派の危うさをみる。日本における韓国経済の第一人者に、7月に見込まれる交渉参加に当って隣の国から学ぶべきことを聞いた。(取材・まとめ/窪田新之助)
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TPP反対も韓国が情報源

――ネットで巻き起こった米韓FTAへの反対論をきっかけに、やがて韓国の国会でも大もめになりましたね。

米韓FTAを批准する直前に政争の具とされてしまった。野党にしてみれば、これはなかなか面白いじゃないか、ということでしょう。これらを「ラチェット条項」や「未来最恵国待遇条項」など12の項目別に分類して、野党がまとめたのがいわゆる「毒素条項」。ただ、ネット上で騒がれている情報をまとめただけなので、それほど精緻なものではありません。

――ネット情報が基ですか・・・。

そうなんですね。で、そうやって韓国の野党がご丁寧にまとめたものを、実は日本でもTPP反対のためにそのまま使う人が出てきたんです。誰とは言いませんが、学者でもそうした人がいます。あるいは民主党の国会議員が本で触れたり、農業関係の新聞や雑誌がいっぱい書いたり。日本では、そうやってTPPに毒素条項が含まれているということがまことしやかに広まっていったんです。

――確かに日本でTPPの話が持ち上がってから、毒素条項については「巷で言われている」みたいな形容詞が付きました。当時は聞きなれない言葉だったから、私は違和感を覚えました。でも、あれはつまり、韓国で噂されていたということなんでしょうね。

向こうで市民権を得た言葉ということなんでしょう。

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