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シリーズ TPP特集

米韓FTAを通してみるTPPの誤解(5)「被害額と対策費」 大東文化大学 経済学部社会経済学科 高安雄一教授

  • 大東文化大学 経済学部社会経済学科教授 高安雄一
  • 2013年07月16日
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2012年3月に発効した米韓FTA。直前にその是非を巡って巻き起こった韓国での反対の論調は、日本でもTPP交渉への参加を退ける材料としてそのまま使われてきた。大東文化大学経済学部の高安雄一教授は、この点にTPP反対派の危うさをみる。日本における韓国経済の第一人者に、7月に見込まれる交渉参加に当って隣の国から学ぶべきことを聞いた。(取材・まとめ/窪田新之助)
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明確な影響試算

――韓国農村経済研究院の試算によれば、農業全体への影響はどうだったんですか?

牛肉が関税撤廃される15年目までの農業全体の合計で12兆ウォンですね。

――その数字は妥当なんですか?

ええ。日本のような曖昧な条件で試算するのとは違うんです。日本の場合、TPPでは条約の中身がどうなるかわからない中で影響を試算しましたよね。韓国はああいうことはしない。妥結してから批准されるまでの間、すべての関税撤廃とそのスケジュールを加味して影響を試算するわけです。だから日本よりも精度は高い。

――日本のTPPの試算は眉唾ですが、それを基に国内では議論が進んでしまっています。それがTPPについての誤解を生んでいる要因の一つと考えるのですが、先生はどう思われますか?

やはり交渉が妥結する前に影響額を公表しても仕方ないと思いますよ。すべての自由化のスケジュールが決まらないと、意味のある推計は不可能ですから。ただ、日本と違って韓国ではFTAを結ぶことが国是になっている。

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