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【江刺の稲】
いまこそ問うべき農薬の登録適用外使用問題
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第80回 2002年10月01日
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各地の農協では無登録農薬使用に関する説明会が開かれている。そして、農協だけでなく出荷組合や販売先を含めて、その不使用を確約する誓約書の提出を生産者に求めている。関係者の困惑は想像に難くない。しかし、読者はそれを“単なる形式”や“求められたから出す”というその場しのぎの繕いとしてではなく、農業経営者としての正念場に立たされているという認識をもって誠実な対応を取るべきだと思う。
読者各位から寄せられる“農協の説明会”での経済連や農協担当者の説明のシドロモドロさは、笑って済まされることではない。
例えば、「葉面散布用の肥料を使っても大丈夫なのか?」、「尿素は原料としては中国から輸入されているものが多いと思うが、その製造過程で混入するかもしれない不純物は問題にされないのか?」、「スポーツ選手のドーピング検査のように、検査で陽性と出ることを恐れてあらゆる資材が使えなくなってしまうのでは?」等という質問に、担当者は答えるべき言葉を持っていないというのだ。
多くの読者にとって、ダイホルタンやプリクトランあるいはナフサクといった農薬の問題は関係のないことだと思う。しかし、まだメディアが話題にしていない“登録適用外”の農薬使用に関しては、身に覚えのある人も多いのではないか。それらは、低リスクな農薬として他の作物では評価を得ているにもかかわらず、農薬メーカーが登録拡大をしない(できない)ために“適用外使用”として“違法行為”にならざるを得ないのだ。
しかし、改正JAS法の成立、さらにはBSE問題が発生してからは、買い手の業者は決まり文句のように「栽培履歴を提出しろ」と生産者に要求してくる。本誌も読者の農産物を販売する農通インフォマートの営業で、顧客のそうした要求に直面している。
読者各位から寄せられる“農協の説明会”での経済連や農協担当者の説明のシドロモドロさは、笑って済まされることではない。
例えば、「葉面散布用の肥料を使っても大丈夫なのか?」、「尿素は原料としては中国から輸入されているものが多いと思うが、その製造過程で混入するかもしれない不純物は問題にされないのか?」、「スポーツ選手のドーピング検査のように、検査で陽性と出ることを恐れてあらゆる資材が使えなくなってしまうのでは?」等という質問に、担当者は答えるべき言葉を持っていないというのだ。
多くの読者にとって、ダイホルタンやプリクトランあるいはナフサクといった農薬の問題は関係のないことだと思う。しかし、まだメディアが話題にしていない“登録適用外”の農薬使用に関しては、身に覚えのある人も多いのではないか。それらは、低リスクな農薬として他の作物では評価を得ているにもかかわらず、農薬メーカーが登録拡大をしない(できない)ために“適用外使用”として“違法行為”にならざるを得ないのだ。
しかし、改正JAS法の成立、さらにはBSE問題が発生してからは、買い手の業者は決まり文句のように「栽培履歴を提出しろ」と生産者に要求してくる。本誌も読者の農産物を販売する農通インフォマートの営業で、顧客のそうした要求に直面している。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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