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高設イチゴの実用栽培技術

はじめに1.高設栽培と土耕栽培の違い2.培地の種類

高設イチゴ栽培は、培地に土壌を使っていても一般の土耕栽培とは異なり、人為的に根部環境を作り出していく養液栽培の範疇に入るものと考えられる。そこでは、緩行性固形肥料を培地に混合して水だけを供給するような土耕栽培の感覚では生産に限界があり、高設栽培にした利点を十分に発揮できない。このような観点から、高設栽培の実際のポイントについて、データを示しながら解説していく。
はじめに


 高設イチゴ栽培は、培地に土壌を使っていても一般の土耕栽培とは異なり、人為的に根部環境を作り出していく養液栽培の範疇に入るものと考えられる。そこでは、緩行性固形肥料を培地に混合して水だけを供給するような土耕栽培の感覚では生産に限界があり、高設栽培にした利点を十分に発揮できない。このような観点から、高設栽培の実際のポイントについて、データを示しながら解説していく。

 この連載は、高設イチゴ栽培を実際に行っている生産者、及びこれから行おうかと考えている生産者を対象にしたものである。本稿の内容からも一般的な土耕栽培に応用できることは多くあるが、一般的なイチゴの知識や土耕栽培のみに利用できる技術内容は、別の資料を参考にされたい。


Ⅰ 高設栽培と土耕栽培の違い


花壇に植えた草花と植木鉢に植えた草花では、水やりなどの管理が異なることを思い出して欲しい


 イチゴの高設栽培の実際例を第1図に示した。ベッドはプラスチック製の成型品で、培地はピートモスを主体にした混合培地である。高設ベッドの幅は30cm前後で2条植え、高さは作業者が収穫などの管理作業をしやすいものになっている。

 土耕栽培のイチゴの根は、不適環境に遭うと自然と少なくなり、根にとって好適な土壌水分、土壌肥料濃度、地温などの環境が与えられる場所に伸長・分布するようになる。しかし、土壌も含めて固形培地の高設栽培やNFTでは根域が制限されている。このような根域が制限されている栽培では、根にとって好適な環境を人為的に与える必要がある。養液栽培技術を基本に、培養液の組成、濃度、pH、給液、温度などの管理をそれぞれの培地の特性に応じて展開することが必要である。


なぜ多くの高設栽培システムがあるのか


 イチゴの品種は、西は「とよのか」と「さちのか」、東は「とちおとめ」が主流であるが、静岡を中心とした「章姫」を始め、各地で様々な品種が栽培されている。その特性を十分に発揮させるには、それぞれの品種に適した温度、施肥、かん水などの管理が必要である。

 また、イチゴの栽培施設は簡易なパイプハウスから大型鉄骨ハウスまで様々な種類があり、それぞれの温湿度環境や光環境が異なる。

 イチゴの栽培は、初秋に定植し春まで栽培される促成栽培が主体であるが、高冷地などでは四季成り性品種を用いた夏秋栽培もある。促成栽培では弱日照期を経過するが、この時期の地域による日射量の差異や施設の採光性が生育に大きな影響を与える。また気温が低いため、夜温管理や日中の換気管理によっても、培地温や気温に大きな開きが生じる。

 1芽にするか2芽にするか、摘果をするかしないか等、生産者の栽培技術の個人差が大きな作物でもある。早く親株を植え、比較的がっちりした苗を育成する生産者がいる一方、無仮植苗を利用する生産者もいる。この様な差異は、地域の気候、風土や技術の移転などの歴史的なものとともに、現在の経営規模や労力、経営目的によっても異なるであろう。

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