ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

高設イチゴの実用栽培技術

はじめに1.高設栽培と土耕栽培の違い2.培地の種類


培地の持つべき特性


 イチゴの根は、クラウンから発生する新生根によって常に更新されていなければならない。その新生根の発生を促すには、培地表面の土壌水分が多いほど良い。そのため、培地の物理的特性として保水性が高いことが必要である。一方、根の酸素吸収量が多いため、培地中の酸素量は頂花房の収穫までは大きな差とはならないが、それ以降の生育・収量は根への酸素供給量の多少に影響される。そのため、培地の排水性が良いことが必要となる。培地の保水性と排水性は相反する特性のように見られがちであるが、いわゆる団粒構造によって解決されるものである。これらの問題は給液管理である程度解決可能であるが、培地の種類やその混合比率によって根本的に対応することが栽培管理を容易にする方法である。

 また、イチゴの根は耐塩性が低いため、培地内溶液の肥料濃度はEC1.2dS/m程度の低い濃度で管理される。すなわち窒素濃度が極めて低い。特に、定植直後の培養液濃度はEC0.4~0.6dS/mと低い管理を要求される。よって、肥料として供給された無機態窒素を固定・有機化してしまう特性を持つ培地をイチゴの培地に使うことは問題となる。ヤシ殻やピートモスなどの一部の有機質培地は、このような特性を持つので注意が必要である。これは、培地中に生存する微生物の作用による。微生物の活性は温度が高かったり、無機態窒素量が多かったりすると急激に上昇するが、ある期間を経過すると活性が低下して平衡状態になる。そこで、このような有機質培地を新規に使用する場合には、定植する少なくとも1ヶ月前に、窒素を多量に含む液を給液して培地温と微生物活性を高めた後、ある程度の平衡状態になってから定植する。定植後は葉色を観察し、葉脈間の緑色が淡くなるようでは窒素飢餓の可能性が強いので、培養液の窒素含量を高めるか、培養液濃度を高くして給液する。

 なお、培地のC/N比(培地が本来持っている窒素成分に対する炭素成分の比率)が高いほど窒素飢餓を生じやすい傾向があるが、必ずしも比例しているということはなく、C/N比はあくまでも参考程度に考えた方が良い。これは、培地にリグニンなどの難分解性成分が多量に含まれていれば、炭素含量が高くなりC/N比も高くなるが、必ずしも微生物の活性が高いとは言えないからである。


モミガラ培地の特性


関連記事

powered by weblio