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【江刺の稲】
上海に日本人農業経営者のアンテナショップを作ろう
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第94回 2003年12月01日
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中国人参観者の我々の展示に対する関心は驚くほど高く、日本の技術や農業関連企業に注目する貪欲ともいえるビジネスマインドを感じた。
展示会場には今の中国にとって最大の国威発揚のシンボルである宇宙船「神舟5号」の実物が展示され、先端のIT関連技術や自動車、バイク、バス、鉄道技術からさまざまな分野の技術と企業が“中国の未来”を謳っていた。中国独自あるいは日米欧との合弁による展示とそれを見つめる人々の姿には、貧しさや社会としての混乱が感じられたとしても、それ以上に自分たちの未来への期待がそこに溢れかえっているようだった。
その様を見て、ぼくは子供時代であった昭和30年代の日本を思い出した。敗戦国の屈折と空腹感はあっても、未来を予感し“世界に追いつけ追い越せ”と思っていた時代の日本あるいは日本人の姿がそこにダブって見えた。その時代の日本の子供たちは現代の中国の子供たちと同様に国際見本市に行くことを親にせがんだ。そして、現代の中国人の親たちは――きっとかつての日本の親たちがそうであったように――自分自身より子供たちにこそ未来を示そうとしているのではないだろうか。
現代の日本の大人たちは、子供たちに未来を見せる努力をしているだろうか。現在を守ることに汲々とするばかりで、次世代のために未来へチャレンジする努力を放棄しているのではないだろうか。
展示会場には今の中国にとって最大の国威発揚のシンボルである宇宙船「神舟5号」の実物が展示され、先端のIT関連技術や自動車、バイク、バス、鉄道技術からさまざまな分野の技術と企業が“中国の未来”を謳っていた。中国独自あるいは日米欧との合弁による展示とそれを見つめる人々の姿には、貧しさや社会としての混乱が感じられたとしても、それ以上に自分たちの未来への期待がそこに溢れかえっているようだった。
その様を見て、ぼくは子供時代であった昭和30年代の日本を思い出した。敗戦国の屈折と空腹感はあっても、未来を予感し“世界に追いつけ追い越せ”と思っていた時代の日本あるいは日本人の姿がそこにダブって見えた。その時代の日本の子供たちは現代の中国の子供たちと同様に国際見本市に行くことを親にせがんだ。そして、現代の中国人の親たちは――きっとかつての日本の親たちがそうであったように――自分自身より子供たちにこそ未来を示そうとしているのではないだろうか。
現代の日本の大人たちは、子供たちに未来を見せる努力をしているだろうか。現在を守ることに汲々とするばかりで、次世代のために未来へチャレンジする努力を放棄しているのではないだろうか。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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