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土門「辛」聞

経済財政諮問会議にお株奪われた農水省

 内容はともかく、経済財政諮問会議がこの時点で農地制度を取り上げた「動機」を探らねばなるまい。「EPA交渉の加速、農業改革の強化」のタイトルが示す如く、やがてEPA交渉なりWTO交渉なりが決着して、さらなる市場開放に迫られる。農水省に農業改革を任せても期待薄。仕方なく官邸主導で農業改革を急ごうということだ。

 そのWTO交渉。これまた日本政府は「存在の耐えられない軽さ」で、交渉に影響力を持つ米国、欧州連合(EU)、ブラジル、インドの4カ国・地域(G4)だけで閣僚会合を開くなど日本は完全に蚊帳の外。早ければ年内に交渉妥結の機運が強まる気配も。そんな空気を察してか民間からの有識者4人が経済財政諮問会議の思惑を代弁するかのようなコメントを出している。

「ウルグアイ・ラウンドの最終局面では、コメについて関税化を拒否するということをしたために、ミニマムアクセスの増加率を高めに取らなくてはいけないことになり、結果的に不利な選択になってしまった。さらにその交渉妥結後6兆100億円もの国内農業対策を行なったが、これが構造改革に貢献したとは余り聞かれない。政策効果が乏しかったと言われている。このような追い込まれた選択にならないように、今回はきちんとリーダーシップを取っていただきたい。これが我々の主張である」 あの時、関税化を受け容れておけば、ミニマム・アクセス(最低輸入義務量=MA)で年間80万tもコメの輸入を義務づけられることがなければ、減反も少しは楽になったという意味である。

 農産物交渉について政府のスタンスを代弁したのが民間からの有識者の、一人、伊藤教授。「国境措置については、対象品目を絞込むとともに関税率を引き下げる。差額関税制度にいては廃止し、単純かつ透明性の高い制度に変更する。差額関税制度とは、新聞紙上に出ているように、不正の温床になっていると言われている制度である。国境措置削減によって発生する産業調整コストへの対応にあたっては、農業における構造改革に資するものに限定し、原則として期間を示した、計画的な措置とすべきである。対象については、所得の大宗を農業に依存している農業経営者を基本とすべきである。つまり関税を下げることによって生産に被害が出るような農家には、直接所得保障といった対策をするのはやむを得ない。全くすぐに丸裸になるというわけではない。ただ、そういった措置はある程度の時間を区切ったものであり、昔の用語で言うと、専業農家である担い手となり得る農業経営者を基本的に対象にすべきである」

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