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【新・農業経営者ルポ】
新規就農だから見えた営業の哲理
- 葡萄園スギヤマ 代表 杉山経昌
- 第17回 2005年10月01日
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取材の直前、宮崎県には台風14号が接近しつつあった。日程の変更をお願いしようと電話をかけると、杉山経昌は用事のある日を挙げ、それ以外なら「いつでもかまいません」といった。
「うちは(台風が)持っていくなら全部持っていってくれっていう考え方でやってますから」
歯切れのいい口調と明快な言葉が、受話器を通じて耳の奥に残った。
台風14号は同県内に甚大な被害を及ぼした。綾町でもキュウリのハウスが倒壊するなどの被害が出たし、杉山の果樹園ではモモの木がなぎ倒された。
しかし、天災が通り過ぎた後にもかかわらず、本人はいたってサバサバしていた。「農業経営はリスクを折り込まないと成り立たないんですよね。だからジタバタしてもしょうがないし、台風とはケンカしない。『全部持っていってくれ』といったのは、そういう意味です」
からりと笑い、さらに続ける。
「普通、農家は、今年か来年に入ってくる予定のお金で生活するでしょう。台風にやられると前年分の生活費が払えなくなるから、無理にビニールを押さえたりして、結果的にハウスをつぶしてしまう。私は前年の収入の範囲、だいたい半分ぐらいで生活すべきだと思うんですが」
〝清貧?を説くわけではない。経営の柱は実質52aのブドウ園だが、「コスト管理を徹底すれば、規模が小さい分、暇ができるし、改良・改善のアイデアが出せる」と杉山は話す。生産性と収益性を高めた経営と悠々自適な暮らしが、資金・時間・心理的な余裕を生みだし、経営に「プラスのサイクル」をもたらすという発想だ。
「うちは(台風が)持っていくなら全部持っていってくれっていう考え方でやってますから」
歯切れのいい口調と明快な言葉が、受話器を通じて耳の奥に残った。
台風14号は同県内に甚大な被害を及ぼした。綾町でもキュウリのハウスが倒壊するなどの被害が出たし、杉山の果樹園ではモモの木がなぎ倒された。
しかし、天災が通り過ぎた後にもかかわらず、本人はいたってサバサバしていた。「農業経営はリスクを折り込まないと成り立たないんですよね。だからジタバタしてもしょうがないし、台風とはケンカしない。『全部持っていってくれ』といったのは、そういう意味です」
からりと笑い、さらに続ける。
「普通、農家は、今年か来年に入ってくる予定のお金で生活するでしょう。台風にやられると前年分の生活費が払えなくなるから、無理にビニールを押さえたりして、結果的にハウスをつぶしてしまう。私は前年の収入の範囲、だいたい半分ぐらいで生活すべきだと思うんですが」
〝清貧?を説くわけではない。経営の柱は実質52aのブドウ園だが、「コスト管理を徹底すれば、規模が小さい分、暇ができるし、改良・改善のアイデアが出せる」と杉山は話す。生産性と収益性を高めた経営と悠々自適な暮らしが、資金・時間・心理的な余裕を生みだし、経営に「プラスのサイクル」をもたらすという発想だ。
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杉山経昌 スギヤマツネマサ
葡萄園スギヤマ
代表
1938年東京都生まれ。千葉大卒。会社員を経て50歳で新規就農。ブドウ計52a、モモ20aを栽培し、直売、地方発送するほか、道の駅でも販売する。年間売上高は約900万円。自家用にはカキ、ナシ、リンゴ、イチジク、ビワなどの果樹、ソバ、小麦、モチ米も栽培する。著書に『農で起業する!脱サラ就農のススメ』(築地書館)がある。
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