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【土門「辛」聞】
“攻めの農政”松岡利勝 農水大臣に「贈る言葉」
- 土門剛
- 第37回 2007年07月01日
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意外!?農水官僚の評価は「合格点」
松岡利勝農水相、本コラムでは敬意を表して、大センセーと呼ぶ習わしとなっている。7月の参院選が近づくにつれ、還元水問題を抱えた大センセーが、いつクビになるのか、永田町の関心を集めるようだが、その大センセーにムチを打つように、安倍晋三首相のご意見番的存在の森喜朗元首相がこう言っていた。5月14日付け日経新聞の「あの人ぐらい農業がよく分かっている人はいない。安倍さんは農業に活力を与える意味で期待したんだけどね。『応援に来てもらわなくてもいい』というのであればつらい。自発的にあれすべきですよ。党に迷惑をかけると思ったらね」という趣旨の記事だ。森元首相の「あれ」なる意味は、「あんな奴を大臣にして、えらい目に遭った。早く辞めてくれんかな」ということで、体のよい辞職勧告なのである。大センセー、政府与党の中でも四面楚歌におかれ、最近は人間が生まれ変わったかのように穏やかになったという噂が耳に入ってくる。やはり大センセーでも試練が人間の鍛えるのであろうか。省内での評価が世評とは若干違う。国際交渉に当たる官僚氏によれば、「EU(欧州連合)でも、松岡大臣は自分の言葉で喋っていると合格点ですよ、彼ら(EUの交渉担当者)の評価が高いのは、前任者の中川昭一政調会長もそうですね」というが、それは歴代農水大臣が「自分の言葉」を持たなかっただけのことで、それとの相対比較では「合格点」がもらえたということではなかろうか。それよりも心配事は、交渉相手から「合格点」をもらえたということは、いったい相手に何をお話になられたのか。これはぜひ知りたい点だ。
少々気が早いが、在任中の大センセーの功罪について論評してみよう。地盤沈下著しい農水省の存在を世に知らしめたという点では、「功績」大かもしれない。大センセーのおかげで週刊誌記者までが農水省にやってきた。政策に点数をつけるとなると、例の「スシポリス」構想はご愛敬として、バイオエタノール、美しい森林づくりプロジェクト、農産物輸出が講評の対象となろう。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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