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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

パン用小麦、茨城県産ゆめかおり 前編 
人の出会いからパンが生まれるまで

コメからの転作が奨励され、麦をつくりはじめた人も多いだろう。 なかでも小麦は、配合と製粉を経て、大半はパンや麺、菓子に加工されているため、生産者が最終製品を把握しにくい状況にある。 つくった小麦はどこで何に加工され人々の舌を楽しませているのか。 それがわかれば麦づくりの目指すところが見えてくるだろう。 今回は、顧客に喜ばれる品質を追求した生産者、製粉業者、製パン業者の連携を紹介したい。
軽井沢と都内で本格的なヨーロッパスタイルのパンを提供し、グルメファンの顧客層を持つ(株)浅野屋から2014年の春、茨城県産小麦「ゆめかおり」を100%使用した全粒粉バターロールが発売された。小麦を丸ごとひいた、ふすま(外皮)や胚芽が含まれている全粒粉パンは、食物繊維やビタミンBなどの栄養素が豊富なことから健康志向の女性たちに人気がある。
ゆめかおりは、長野県でパン用小麦として育成され、10年に茨城県の奨励品種とされた。茨城県でパン用小麦が奨励品種になったのはこれが初めてである。パン用の硬質小麦で、タンパク質の含有量が高く、連作障害のコムギ縞萎縮病の抵抗性がある。
茨城県坂東市に圃場を構える(有)ソメノグリーンファームで12年秋、ゆめかおりの生産が始まった。全粒粉にする小麦はソメノグリーンファームから浅野屋に納品される。その他の小麦は、製粉するために千葉製粉(株)で精白粉に加工され、浅野屋に納品される。浅野屋では、その二つを合わせて、ゆめかおり100%のパンをつくっている。
生産者のソメノグリーンファーム、製粉業の千葉製粉、製パン業の浅野屋が連携をはじめた経緯を紹介したい。

「ゆめかおり」のパンの
立役者たち

ソメノグリーンファームが試験栽培を始めたのは、代表取締役の染野実氏が、茨城県の坂東地域農業改良普及センターに声をかけられたことがきっかけであるが、特に普及指導員の伊藤常雄氏に背中を押されたことが大きい。
「ゆめかおりをパン用小麦として茨城県に根付かせるという、伊藤さんの熱意に心を打たれましたね」
12年秋から38aで試験栽培をはじめ、翌13年の夏、初めての収穫に至る。この年に収穫されたゆめかおりは、サンプルとして染野氏から伊藤氏の手に渡った。伊藤氏は、食品総合研究所(以下、食総研)で全粒粉の研究していた堀金彰氏から、浅野屋の平和生氏と千葉製粉の茂櫛裕之氏とを紹介され、この二人に染野氏を紹介した。こうして3者が出会った。浅野屋と千葉製粉とが、ゆめかおりを受け入れたのには、それぞれ理由がある。

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