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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

パン用小麦、茨城県産ゆめかおり 前編 
人の出会いからパンが生まれるまで


「千葉製粉さんや浅野屋さんと連携しなかったら、いくら良いものをつくってもそこで終わってしまいます。六次産業化として生産者がやるよりも、信頼できる人たちと組めば最終製品も良いものができると思います。私たちは、製粉業者、製パン屋の2社の評価を下げないように努力しないといけないですね」
3者の品質に対する具体的な取り組みについては、次号で引き続き紹介したい。

製粉の世界

【製粉の工程】

浅野屋は全粒粉を使用しているが、ここでは、精白粉をつくる工程を紹介したい。
製粉工程は、主に、ロール機で麦を砕く挽砕の工程、ビュリファイヤー機の空気流でふすま(外皮)や胚芽から胚乳(小麦粉)を飛ばして分ける工程、シフター機で細かい小麦粉を取り出すふるいにかける工程があり、この工程を繰り返すことによって、細かくなめらかな小麦粉が生成される。
麦の粒の中心に近いほど色は白く、ふすまに近いほど麦の色は茶色に近くなる。そのため、一般的には、麦の粒の70%の重量が精白粉として使用される。ふるいの工程でふすまや胚芽が混ざると、茶色がかった小麦粉になってしまう。この技術が高いほど良い製粉が可能になる。日本の市場では、白度(色差計で計測)が高い小麦粉が良質とされ、エンドユーザーにも好まれるため、精白粉に製粉する技術は欠かせない。
こうしてできた小麦粉を調合し、用途に合わせて工場内のタンクで熟成され出荷される。

【求められる品質】

製粉の歩留りの視点で考えると、容積重(千粒重)が大きいほうが求められることがわかる。さらに厳密にいうと、ふすまから胚乳を分離しやすいなどの製粉性も求められる。
品質の視点で考えると、一次加工の製粉の先にあるパンや中華麺、うどん、菓子など二次加工の適性が求められる。この二次加工への適性は、原麦の段階から求められることである。具体的には、タンパク質の含有量、灰分と呼ばれるミネラル分、フォーリングナンバーと呼ばれるでん粉が糊化した際の粘度である(表4を参照)。
製粉において「品質が安定している」というのは、これらが総合的に評価されてのことである。
品質の安定のためには「配合」が重要な要素になる。次号では、配合をとりまく課題について紹介する。

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