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イベントレポート

農村経営研究会 第4回定例会 農業経営コンサルティング会社の取り組み/福島県にスマート・テロワールは生まれるか 松尾雅彦氏、提唱の実現に向けて


この状況を解決し、逆にチャンスに変えてほしいと考えた松尾氏は10月に開催された研究会で、川曲集落を含む郡山地区の人口55万人の地域ユニットで「スマート・テロワール」を構築することを提唱した。地産地消を成立させるための「スマート・テロワール」は福島県にこそ勧めたいもので、郡山地区が全国の先駆けとなってほしいという期待を述べた。

【住民とともにモデルケースをつくる】

松尾氏は、食料を地産地消するためには、地元住民が地元のものを買うという消費行動があってはじめて成り立つと考えている。そのためには、地元の「おいしいもの」を大都市圏の消費者よりも先に地元の住民のために確保して販売し地元で食べてもらうことを勧めている。
福島県の状況を見ると小売店では輸入原料を使用した加工食品が数多く販売されている。たとえば大豆を用いた味噌や醤油、豚肉を用いたハムやソーセージである。一方、福島県はコメの生産量の過剰率が高い。川曲集落のような中山間地域でコメの代わりには降矢氏が手掛けているような畜産物を生産するほうが適している。
そう分析した松尾氏は、郡山地区に築き上げる「スマート・テロワール」において、降矢氏の取り組んでいる放牧養豚とその加工品が一つのパーツになると考えた。
そこで今回、松尾氏はあらためて降矢氏の営む放牧養豚を視察した。降矢氏との対談で松尾氏は、「スマート・テロワール」を築くためには30年後のビジョンを描き、それを見据えた戦略、戦術が必要であるとした上で、最初に着手することとして、住民とともに放牧養豚とその加工品の生産、加工、流通、消費のモデルケースをつくることを提案した。
放牧養豚の視察には、地元紙、福島民報が取材に訪れた。松尾氏は記者に対し、郡山地区における「スマート・テロワール」の構想を解説した上で、「スマート・テロワール」を築くには住民の参加が必要であると伝えた。福島民報からこの取り組みが発信されることにより、この日から福島県で「スマート・テロワール」の構想の実現に向けて取り組みの第一歩がはじまった。

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