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特集

水田農業の「当たり前の経営」 そのコメづくりは必要とされているか



【実績が見えない生産調整需要に見合わず財政負担に】

図1と図2に同会議の配布資料に掲載されていたものを抜粋した。まず、図1に水田の利用状況の推移を示した。08~13年度の6カ年の作付面積を示して、こう評価している。
「主食用米の需要が減少する一方で、米の作付面積は近年減少していない。このところの米の生産調整の実施拡大は財政負担を伴う非食用米の作付けに依存している」
11年に拡大した飼料用米および稲WCSの面積も、大きくは伸びていない現実がうかがえる。さらに、麦は横ばいで、大豆に限れば、作付面積が徐々に減少していることがわかる。最大10a当たり10万5000円という交付金の額は財政負担でしかないという考察をしたのだ。
次に図2は、「主食用米・飼料用米・小麦における所得比較(10a当たりのイメージ)」に同年の大豆のデータを編集部で加えたものである。右側が収入の項、左側が支出と所得の項を作物ごとに示している。
この項には「米の転作に対しては、主食用米を咲く付けした場合との所得差が生じないようにすることを基本として、助成している」と転作助成の説明をし、こう指摘している。
「収入に占める販売収入の割合は極めて小さく、需要というよりは、補助金の単価が作付けする作物の選択に大きな影響を与えているのではないか」
つまり、飼料用米は多収性品種を栽培しても、販売収入は7000円から9000円に2000円上がるだけだが、交付金は3万7000円も多く付与されると読み取れる。小麦や大豆に至れば、水田活用と畑作物のそれぞれの交付金よりも販売収入はさらに額が小さい。経営費に対する割合を考えてみても、まっとうな商売として成立していないのではないかという指摘なのだ。
13年11月、第2次安倍晋三内閣が発足時に、18年に生産調整を撤廃する旨の発表があった。この状況において、各地のJAは飼料用米を新規拡大しようと組合員の農家に呼びかける姿勢を見せる。しかし、マーケットを見れば、おのずと生産するべき農産物は見えてくるはずだ。
これらの図表は、農水省が発表した全階層平均のデータを用いたものであって、実態を捉えているとは限らない。各経営体の数字で同じように図示しつつ、所得や利益率を計算してみてはいかがだろうか。

Case1
機械償却を最小限に留め
多様な可能性を探る
(有)横田農場 

機械を最大限に使いきり、100ha規模の水田作業を1セットで行なってきた横田農場。規模拡大とともに、経営は順風満帆だったが、コメの市場価格の下落で、経営判断を迫られている。

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