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特集

水田農業の「当たり前の経営」 そのコメづくりは必要とされているか


信頼関係で長く取引できると考えていたが、正直なところ、苦しいと状況だと話す。直売の割合も考え直す時期が来ているのだ。
「直売は高く売るためというより、相手のフィードバッグが欲しいのでやっているようなものです。相手は必ずしも個人顧客でなくてもかまいません。外食や中食で消費されるコメの割合が4割という世の中の流れを見ると、価格は安くとも業務用として取引するのも手だと思います」
現在も一部、地元の加工会社と取引のある加工用米の拡大を模索している。従来の個人向けのブランド戦略とは異なるが、その方向転換もリスク分散には欠かせない。
「経営はバランス良くやっていく必要があると思います。インターネット販売が震災で駄目になってもスーパーマーケットがありました。市場価格安でスーパーマーケットが駄目になっても加工がありました。規模が大きくなるほど、リスク分散しておくことが必要だと思います」
同時に、震災後も購入を続けてくれた個人顧客のように、横田農場のコメだから食べるというファンづくりも必要だ。田んぼやコメに関心を持っていない子供たちに田植えを体験してもらうイベントを充実させたり、米粉スイーツの購入をきかっけにお米に目を向けてもらったりと、多様なアプローチを仕掛けている。
また、なにより横田さんが重きをおいているのは人材の育成である。現在、一人当たりの面積は16~17haだが、現在の人員で平均30haまで伸ばすという目標を持っている。
「今は投資だと思って給与や各種社会保険の待遇を整えています」
人材育成と合筆をさらに進めていくことによって、規模拡大に伴いコストはまだ削減できる。
「常識にはとらわれたくありません。規模拡大ではなく膨張しているように感じることがあります。このように変化する時代ですから、中身をしっかり詰めて、コメだけでいいのかということも含め、柔軟に対応していきたいと思います」

横田修一 氏
(茨城県龍ケ崎市)
(有)横田農場
代表取締役
1976年茨城県生まれ。茨城大学農学部を卒業後、実家の営む農業に就く。96年に(有)横田農場を設立し、コメの生産・販売のほか、米粉スイーツの加工・販売も行なう。従業員は家族を含む7~8人。現在の耕作面積は112ha(2014年度)。

Case2
需要者があってのコメづくり
みつひかりは約50haに
(株)グリーンちゅうず
 
需要者の求めるコメをつくるという原則を貫き、黒字経営を続ける(株)グリーンちゅうず。外食業者からの要望を受け、多収性を持つハイブリッド品種のみつひかりは今年、全国でも最大規模の50haに達する見込みである。

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