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特集

家業を引き継ぐということ


小池 はじめに小池精米店の良さを「お米マイスターです」とか、「決して混米はしません」とか、「配達代は無料です」などと書いたプレゼン資料をつくりました。僕にとっては当たり前のことですが、相手にとっては当たり前じゃないので、改めて伝えて、信頼できる米屋ということでお取引いただくという感じでした。自分自身の立ち位置を確認することもできましたし、その過程で米屋としての勉強もできました。
昆 それが産み落とされたまま生きるところから、現代の米屋として自ら生まれ直すということですね。
小池 業界の中でしか通用しない言葉を相手に平気で言うようなやり方は大嫌いなのでしないように心がけていますね。そんな感じで売上が1.5~1.6倍に伸びたのは良かったんですが、粗利が少ないままでした。当時は売ることに一生懸命で仕入れに興味がなかったんです。
昆 困ることがあったんですか?
小池 仕入れも精米もやっていた父が入院しているときに、お米が足りなくなりまして。それで、仕入れも担当するようになったんです。いざ、昔ながらの米卸業者と話してみると、違和感がありました。平気でこのお米ないですからって言われてしまうんです。ある程度、お客様も付いていて、そのお客様がいいよねと言ってくれたお米が手に入らない。これは説明できないなと。
昆 そんなことあるんですね。
小池 それで、僕の代から農家から直接買うやり方に切り替えていったんです。それなら予約もできて、農家さんには申し訳ないんですけれども、置いておいてくれて5俵ずつ送ってくださいというお願いもできますし。そういうニーズを汲み取ってくださる農家さんをいろんなチャンネルから見つけて、お互いに信頼関係を築いてきて、今は約7割が農家直だと思います。

【新たな価値を提案する】

昆 取引のある農家の数はどのくらいですか?
小池 業務用と家庭用を入れたら約60アイテムほどあるので、直接購入している農家さんやJAさんは40軒ほどでしょうか。北海道、青森、山形、秋田……47都道府県全部とは言いませんけれど、沢山いますね。仕入れを始めるようになって、どうしてうちには新潟とか東北、関東のお米しかないんだろうって思いました。でも、お客様の立場で、お米屋さんに行って、西から東までのお米が並んでいたら面白いじゃないですか。それを選ぶ楽しさも含めて提案したいなと。
昆 多様なお客さんは多様な願望を持っていて、東京にお住まいの方々には九州出身の人もいれば関西出身の人もいて……。

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