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特集

家業を引き継ぐということ


昆 小池さんにとって、お米は商材なわけですけれども、メディアでもあって、つくっている人だったり、風土だとか文化を伝えるには、お米はわかりやすい素材なんですよね。それにしても、全国各県のお米をどういう形で集めているんですか? 
小池 選ぶ基準は、もちろん親から引き継いでいる部分もあるので、今まであったラインナップになかったものですね。味や値段、場所といったマトリックスを自分の頭の中に描いて、空いているところにポンと当てはまれば、扱います。コシヒカリがこんなに沢山ある世の中で、それだけだとツマラナイなと。最近は西でも北でも、コシヒカリ以外の品種を積極的に集めています。
昆 一般的には産地と品種になるんですけれども、産地としてはDランクでもすごくいいお米をつくっている人もいますよね。
小池 もちろんです。場所だけでなくて、つくる人の思いだったり、技術だったり、特徴のあるお米も大好きです。そういうのは、お客様にも説明しやすいですから。
昆 それがお客様の満足につながるんですよね。もともと、値段が高いか安いかだけでやっていたら、小池さんのビジネスは、先細りにならざるを得ないと思います。米屋からの購入は7%と言われていますし。
小池 何ひとつ米屋にとっていい風は吹いていませんけれど、それが当たり前なんですよ。昔はお米屋さんでしか買えなかった。そんな夢のような時代を経て、普通の商売になった瞬間に何もできていないということは、結局商売人じゃなかったということです。厳しいのはどこの業界も同じですから。

【自分の財産は自分でつくれ】

小池 実際に米屋を継いでちょうど3年くらいした頃に、東日本大震災がありました。お米の値段が上がって、お米が少なくなって、飲食店への新規開拓をストップしたんです。そこで、ふと立ち止まって考えました。原宿という場所の持つ情報発信力の強さを活用して、地方と都会の人の懸け橋になるという役割が一番大事だなと。
昆 地方にいる農家と理念を共有して、なおかつお客さんを共有しているわけですよね。
小池 もう少し大きなことを言うと、稲作文化を守ることが使命だと思っています。食文化も神事も、僕たちのものの考え方も含めて、すごく深い関わりがあるんです。水田という非常に優れた、その土地を守る治水やコミュニティーの中心にあるのも稲作文化ですよね。そのためには耳学問だけでなくて、お米を食べなければ話にならない。だから、消費量を増やしたいなと。

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