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昆 今はこう話されていますけれど、やらざるを得なかったというところから始まって、それを面白がって、さらに広げられましたよね?
小池 父が言うには、祖父は原宿近辺に土地を買う代わりに、父を含めた子どもたちの教育にお金をかけたらしいんです。その土地があれば(笑)でも、結局は自分の財産は自分でつくれ、そういうことですよね。
昆 子孫のために美田を買うなというのは本当に正しくて、チャレンジする何かを子供に与えている人は次の世代も伸びるんですよ。
小池 僕は継ぐことを目的にやっているわけでも、子どもに継がせることも目的ではありません。やりたかったら、勝手にやれという感じですね。自分の生き方は自分で決める、そういう時代ですからね。ただ、背中だけは楽しく見せたいですね。
Case1
種苗小売業界の常識を覆し、
ネットワークと情報で売る
((株)ウエルシード 塙徹・久美子さん)
茨城県筑西市を中心に店舗を構えるハナワ種苗(株)は、戦後間もない頃からこの地で種苗小売業を営んできた。このハナワ種苗から2010年に分社した会社が(株)ウエルシードである。ハナワ種苗に婿入りした塙徹さんが代表取締役社長を、徹氏の妻でハナワ種苗の創業者の孫娘、塙久美子さんが取締役は務めている。
元銀行員の入り婿と、デザイナー志望だったハナワ種苗の長女との夫婦が、伝統と風習が多い種苗小売りの世界に飛び込んだのだから、多難に満ちていたことは想像がつく。
種苗小売業は従来、地域に店を構えてその周辺の農家に種苗を販売するという地元密着型の商売をするのが常識だ。徹・久美子夫妻はその業界の常識を破り、ウエルシードを興して地域ごとに店舗を置くのではなく、事務所を拠点に全国に種苗を販売するという新たな商流を築いた。現在、農家への栽培指導、生産物の販売先とのネットワークづくり、新規就農者への無担保の融資など、農業経営に関わる全体的なサポートをしている。
地元の顧客を大切にしなければいけないが、将来を考えると変わらなければいけない。世代交代にさしかかったとき、どんな業種でも必ずぶつかるであろう先代のやり方に対する葛藤。社内での改革を諦めて、夫妻は分社化という方法で乗り越えて、種苗小売りの業態そのものを変革し新たな道を開拓している。
【時代に求められる事業形態】
ハナワ種苗の関連会社は現在、4社ある。種苗小売業のハナワ種苗とウエルシードのほか、資産管理と融資事業を行なう(株)ハイランドキャピタルと、ハウス用ビニールの加工を専門に扱う協同ビニール(株)である。4社はそれぞれ独立会社として、塙家の家族が役員を兼任する形で連携しながら事業展開をしている。
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