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特集

家業を引き継ぐということ


時代の変化を久美子さんはこう感じている。
「日本の社会も、世界のマーケットもこの20年、変化しています。食糧に関わる私たちの仕事も変わらなければなりません。ずっと右肩上がりできた業界ですが、今は違います」
一方の徹さんは、今後20年の変化を次のように読む。
「現在、約1300軒ある種苗小売りは、あと20年のうちに400軒まで淘汰されるだろうと言われています。大規模な農業法人を相手にできる、全国展開できる種苗小売りにならないと生き残れません」

【豊富な情報とネットワークが
これからのビジネスの鍵】

ウエルシードの経営は、これからの種苗小売りに求められるのは情報提供とネットワークづくりという考えのもとで進められている。
情報提供の目的は、従来の播種から収穫までの栽培指導に加えて、生産物の販売先である市場や加工会社、外食産業のニーズと結び、種苗販売につなげることにある。
徹さんは、種苗小売りが淘汰されてきている理由の一つに、生産者への栽培指導が十分にできなくなってきたためだと分析している。ある試験場で栽培が成功したとしても、土壌や気候が原因で栽培が成功しないこともある。それぞれの地域に合った栽培指導ができなければ、販売した種はダメな品種だと思われてしまう。そのため、地域を超えた栽培指導は欠かせない。また、販売先のニーズを汲み取った品種を知り、その栽培を知らなければならない。
「私たちの顧客は法人化して規模が大きくなってきています。そのため、生産物の販売先のニーズを把握しなければなりません。たとえば加工適性のあるキャベツはどういうものか、その栽培はどうするのか。生産者はそんな情報を持っている種苗小売りから買うようになります。ウエルシードが沖縄や九州にも市場を持つようになったのは、そういった情報を持っているからです」
またネットワークづくりの目的は、大規模化した生産者の増加や、自社の産地を確保しようとする実需者の動きに適応するためである。
従来の農協単位で担ってきた産地リレーを、大規模化した生産法人が北海道から九州まで圃場を持ち自社で供給できるようになったり、小売業や加工業が圃場を持ち生産を手掛けたりする事例も増えている。情報とネットワークによって全国展開できるという相乗効果が働いているといえよう。
「我われは加工業の契約農場をサポートすることもあります。販売先からのきっかけで、種苗を買ってもらうという流れをつくるのです。これからは、こうしたネットワークを活用して商品を売っていく時代だと思います。ネットワークを活用した事業を展開できないところは淘汰されていくと思います」

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