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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第六章 損益計算書の読み方(1) 利益発生の流れを掴む

道徳は戯言、経済は犯罪

報徳訓をご存じであろうか。説いたのは二宮尊徳、通称は金治郎。江戸時代後期の農政家・思想家である。報徳思想を唱え、その手法は報徳仕法とされる。年配の経営者にとっては、系統団体の創設思想や近代の農民運動に多大な影響を与えた大人物であろう。かくいう私も尊敬し敬愛する、財政再建、農村復興の指導者である。
農家に生まれた二宮尊徳は、幼少の頃は生家の苦労続きで、10代で父母を亡くした。同じく農業を営む伯父の家で荒地を復興させ、20歳のときに生家再興に成功したとされる。その後、地主として農業を営む傍ら、小田原の武家で奉公人として働いた。その服部家の財政の建て直しを機に、小田原藩で名前が知られるようになる。その後は方々で財政を立て直し、多くの功を立て賞賛された。経営と歴史が好きな私としては、孫子の兵法や戦国武将の策より、経営学を学ぶには、二宮尊徳が実践した報徳仕法が最良だと思っている。
学生時代、恩師に経営分析を教わっていたとき、とある雑談から「おまえは、報徳訓も知らないのか」と厳しく罵倒され、苦笑された。腹も立ったが、経営に役立つと聞くと、すぐさま大学の図書室で調べた。二宮尊徳と聞けば、当時のことを今でも思い出す。
いち押しの名言を紹介しよう。
「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」
私はこう解釈している。方位磁石の針は、すぐに定まらない。右に左に振れ、振幅はやがて小さくなり方位を示す。利益と道徳に幾度も悩むことこそ、経営者に科せられた十字架であり、案配を大切にせよと。
二宮尊徳の多くの名言には、鋭い洞察力、科学的な分析力、そして人の心を掴む絶妙な表現力が哲学として残されている。
「すべての商売は、売りて喜び、買いて喜ぶようにすべし。売りて喜び、買いて喜ばざるは道にあらず。貸借の道も、また貸して喜び、借りて喜ばざるは道にあらず」
グローバル化が進みTPPが話題となる昨今。現代の農業経営者はどうあるべきか。生き残り策、立ち位置、処世術。利益を求める経営者のこれからの時代にも、尊徳は多くのヒントを残してくれたのであるまいか。
今回のよもやま話、この続きは二宮ファンと語らい合うとして、本題である損益計算書の解説に入りたいと思う。経営活動の成果を利益で示す損益計算書だが、まずは基礎編から始めよう。

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