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岡本信一の科学する農業

土壌改良のいろいろな手段とその特徴


もちろん、土壌そのものを維持するという効果は認められると思うのだが、投入する堆厩肥の量や質によって、土壌改良効果は違うであろうことは簡単に予想できる。一般的に、投入した有機物が腐植化すると、容量は1/10程度になると言われている。大量に投入したように見えても、腐植になる有機物の量は大した量にはならない。そのため、長年にわたって堆厩肥の投入を続けることによって改良効果が現れるのである。

●緑肥の鋤き込み
緑肥の鋤き込みは、有機物を投入する手段として、堆厩肥の投入に次いで多い選択肢だろう。
緑肥は、根を張ることによって土壌の物理性を変化させたり、鋤き込むことで土壌に有機物を投入したりと、土壌の物理性改善にとって非常に有利の改善手段である。
ところが、堆厩肥の投入と比べるとあまり積極的に行なわれていない。その理由は、2つ考えられる。後作への影響が大きいことと、緑肥の栽培期間に加えて鋤き込んでから腐植するまで、圃場を長期間占有されることである。こういったマイナス面を恐れている方が多いように思う。
確かに、作物の一作分に相当する期間より長い時間が必要となる。我が国では、圃場の面積に余裕がある農家のほうが少なく、長らく圃場を使えないことが最大のネックになっているのではないだろうか。
緑肥作物の選択、鋤き込み方法にもよるが、改めて見直すべき土壌改良の手段である。今後さまざまなデータをとって、改善効果を明らかにしていきたいと考えている。その理由は単純で、有機物の量がトウモロコシやソルゴーなどであれば堆厩肥を持ち込むより、コストをかけずに大量の有機物を圃場に供給することができるためである。

●土壌の直接投入
次に土壌の直接投入がある。客土のほか、ゼオライトなどの鉱物、腐植質の投入も含まれるだろう。これらは比較的、土壌改良効果を明確にしやすい。資材の特徴が直接効果につながるので、目安もつきやすい。改良目的と投入資材を照らし合わせて、その特徴をよく理解して投入すれば良い。

●微生物資材の施用
最後にその他の資材として、微生物系の資材に触れることにしよう。これまでの連載でも書いてきたように、微生物資材については懐疑的に語られることが非常に多い。なぜなら、効果があったりなかったりするためである。
効果がないという場合、たいていは、効果を発揮できない環境で使用したことが原因である。微生物は、pHや水分、餌となる有機物などが揃った土壌環境でないと働かない。逆に言えば、微生物が活動しやすい環境で施用すれば、非常に有効であるということが言えるのだ。

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