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特集

外国人訪問客向けの農産物おみやげビジネス



7.相手国の事情で
おみやげにできないケース
ここで取り上げている表はおみやげの場合の条件である。貨物の場合は輸出が可能なものもある。たとえば、台湾は、貨物輸出の場合は検疫すれば輸出できるものが多いのに対して、おみやげとしては輸出できなかったりする。表では「×」となっている。
これは、台湾側が旅行者の一つひとつの荷物まで確認しきれないため、一律禁止しているためである。
また、表の中国の欄を見るとほぼ「△」である。「△」は、検疫条件が未設定のため、輸出できないものである。これは、中国が検疫の制度を変更したためである。輸出実績があるものは輸出継続が認められたが、それ以外のものについては検討を終
えてから輸出を認めるという体制が取られている。
現在、日本から品目の追加を要請しているが、これまでに輸出が可能になった品目はない。

8.国のバックアップ体制
現在、国ではおみやげとして農産物の販売を推進するための活動をしている。その一つが2015~16年度の支援事業として、青果販売業者や旅行業者などが連携する事業団体に委託しているものである。この事業団体は、課題の洗い出しから農産物の販売モデルを構築する準備を始めている。
同時に、国が独自に進めているのが検疫の手続きの煩雑さと検疫の情報共有不足の解消である。
現在、国が理想的な検疫の仕組みとして検討しているのが代理検疫の仕組みだ。たとえば、外国人訪問者が観光農園や道の駅で購入したものを、事業者が空港に運んで検疫を済ませ、出国する際に外国人訪問者に渡すという仕組みである。そのため国は、空港で農産物を受け渡すためのスペースや一時保管用の保冷庫が必要だと考えている。
また、アイデアレベルだが、観光農園や道の駅で農産物の予約だけをし、あらかじめ空港に保管してあるものを渡すという方法も想定している。
さらに、情報共有のため、検疫に関するパンフレットを外国人訪問者向けに各国語で作成して配布する予定だという。

●農産物の輸出拡大への動き
輸出が認められればおみやげとしても販売できる可能性が広がるため、国の農産物輸出に対する動きも把握しておきたい。

9.おみやげは輸出促進の一環
国が農産物のおみやげの検疫体制を整えようとしているのは、国が掲げる2020年農林水産物・食品輸出1兆円の目標に基づくものである。おみやげの波及効果として期待しているのは、輸出先国の人々の間でその農産物の評判が高まり、貨物輸出量が拡大することだ。

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