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第1回 国際食料・農業政策アカデミックカンファレンス

世界のジャポニカ米と日本産米の競争力



●コメの価格変動
さて、世界のコメ市場では、11年12年とコメ輸出の第1位の座から離れていたタイが、また優位な立場に戻ってきた。11年秋に復活したコメの担保融資制度(PPP)は、国内価格および輸出価格の上昇を招き、タイの輸出量を激減させ、その結果、タイ政府は備蓄米を大量に抱え込む事態を招いた(図表5)。180億tの備蓄米が貯蓄されたとも言われており、政策の大きな間違いと言えるだろう。13年にはこの事態は収束し、タイの実勢価格はある程度、一定に推移している(図表6)。そして、国際的なコメの指標価格は、今後、このタイの名目価格と連動していくだろうと言われている。
タイが輸出量を激減した間に輸出を伸ばしたのは、インドである。しかし、インドはストップアンドゴー政策により価格付けが不安定化した。これはインドだけでなく、中国でも同様の状況に陥る可能性がある。というのも、中国は4億4000万tというコメ経済を抱える国で、どのように行動するかによって輸入国にも輸出国にもなり得るためである。現在は、主要な輸入国であり、特に南部ではミャンマーやカンボジア、あるいはベトナムからの輸出が増え、それらの国々が輸出国として台頭してきている。
コメ生産に対する政府の補助金は、中国で年間1000億ドルもの巨額を投じており、フィリピンやインドネシアでも伸びている。こういった補助金が与える影響についても検討していかなければならない。
次に、ジャポニカ米を含む中粒米の価格の予測である。図表7に示したように、中粒米は国際指標価格に対して、ある程度一定の価格差を維持するだろう。米国では、アーカンソーなどの南部の各州で長粒米が、カルフォルニア州では中粒米が生産されている。米国のカルフォルニア州、オーストラリアやエジプトなどの輸出国が高価格をどのように制御していけるかが焦点になる。
コメを他の穀物の価格と比較したものが図表8である。トウモロコシや大豆、小麦の国際的な価格変動に対して、コメはどのような動きをしているのかを示している。いずれも関係は比較的安定している。バイオエネルギーの価格高騰により、トウモロコシの価格は上がったが、コメに対する比率は将来的にもそこまで広がらないのではないかと予測さしている。

●コメの輸出・輸入の世界情勢
各国のコメの輸出・輸入の情勢に話を移す。世界の主な輸出国、輸入国は図表9、10に示したとおりである。この10年間で、サハラ以南のアフリカ諸国が輸入国として重要性を増し、コメ市場での競争力を高めてくる。人口の伸びからすると、年率5%ほど市場が拡大し、トウモロコシや大豆からコメに移行してコメの重要性が増していることの現れである。サハラ以南のアフリカ諸国、サウジアラビア、イラクのほか、インドネシアやフィリピンも輸入国に名を連ねている。

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