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今年の市場相場を読む

“その他野菜”に伸びしろはあるか ウメ/ユズ/ギンナン/タケノコ水煮


ユズ
高知農業の「供給責任」に評価を、「ユズ普及拡大運動」に期待

【概況】
東京市場のユズが過去20年で35%も入荷が落ちたのは、家庭用の冬至需要が激減したためだ。すべての月で入荷が減っており、業務用の利用に元気がない。和食では必ず使う食材だが、その使い方として量や頻度が減少した。ただ、産地の高知は出荷量を減らしていない。年間を通じて作型を変えなかったからだ。また、高知はおそらくユズの加工品の数が日本一だろう。産地の供給責任という意識のあり方に感心する。
【背景】
東京市場では高知産と徳島産とで8割近くを占めるが、柑橘地帯のみならず関東地区まで、出荷は27県からある。これからユズの伸びしろがあるとすると、業務用で貴重な風味づけ用の香味柑橘として使われている、ひと手間加えた和食の食文化が果たしてどこまで一般家庭に普及していくかだ。関西などでは、うどんなどに当たり前のように使われているが、ほかの料理にどう使うのが有効的なのかも一般には知られていない。
【今後の対応】
食品や料理のなかでユズ風味ほど有名なものはない。すでに一般消費者にも浸透している風味だ。ただ、食材としての使い方がわからない。本来、汁物や和え物、薬味に刻んだ皮を添えたり、皮を搾って柑橘油を振るだけで“料亭の味”になる。典型的な和食の必需の香味料なのだから、和食が世界無形文化財に指定されたのを機に、「ユズ普及拡大運動」のようなものをやるべきだ。家庭果樹を含め、栽培はほぼ全国に及んでいる。


ギンナン
秋を演出するメニューとして定着、一般人の拾う習慣を有効活用する

【概況】
東京市場のギンナンの動きが面白い。この20年で単価は半値になったものの、数量は5%も増えた。業務用中心で、貯蔵したものが通年で入荷している。日本中どこでもとれるはずの10~11月に入荷が集中し、かつてより入荷が多いのだから判断に困る。埼玉と競り合っていた愛知がシェアを伸ばしてダントツで、愛知の隣県岐阜が伸びている。結論的にいえば、ギンナンは業務用で伸びている。秋を彩る格好のメニューなのだ。
【背景】
ギンナンに不況の影響があるとすれば単価安になったことか。どんな居酒屋チェーンでも、秋には必ず焼いたギンナンに塩を添え、客にむかせる形のメニューを出している。バカ高いハウスものは要らないが、値ごろなら秋の定番料理として需要は減らないことが証明された。しかも、和食ブームが背景にあるとすると、東アジアしか食べないギンナンは、外国人観光客に珍しがられ、色もきれいでおいしい。ナッツ文化の西洋人には大いに受ける。

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